1)嵌め殺し窓って怖い?
今年の夏は震災後の節電をどのように乗り越えていくかに様々な工夫が提案され始めましたが、何とか乗り越えて明るい日本にしていきたいですね。
さて、そんな熱い夏をなるべくエアコンを使わないで過ごしていくために、木の家の設計上の工夫に大きな役割を果たすのが「窓」です。
窓は
太陽の光を取り込む
出入りをする
外を望む
などの様々な機能を要求されますが
通風、換気、排気
の機能が夏を過ごしやすくするために重要です。
そこで、窓の設計上の検討を皆さんが行う上で、知っておきたい基本的なことがあります。
それは、開閉方式=窓の開け閉めの方法です。
開閉方式はいろいろありますが、一番手にご紹介するのが
嵌め殺し窓(はめころしまど)です。
1、嵌め殺し窓(かめころしまど)=FIX窓
光のみを取り入れるためのもので、嵌め殺し(はめころし)窓と呼ばれますが、始めて聞いた人はびっくりしますね。
ガラスを枠に嵌めこんで動かないようにしたガラス窓で、むしろ最近はFIX窓(ふぃっくすまど)と呼んでいます。
これは木造住宅用の台形の形をしたフィックス窓です。
他にも、四角、丸などの形があります。
最近は細長い窓が人気のようですが。
都心の窓をよく見てみますと、ビルの窓はほとんどが嵌め殺し窓ですね。
特に中高層ビルで、不特定多数の人が出入りする建築の窓は、転落防止や完全空調のため、勝手に開けられると問題があるとのことでほとんどがFIX窓です。
ところが、節電のために空調温度を下げると途端に蒸しぶろ状態になります。
そこで、熱線反射フィルムを貼ったり、熱線反射クリヤ塗料を塗るなど対策が検討されています。
因みに、熱線反射塗料は少し価格が高いですが、フィルムよりも効果があるものが出てきました。暗くならないクリヤであることが照明に負担がかからずよいです。
また、ガラスを二重にして、その間に空気を通して熱を逃がす工夫をしたり、窓の外側にキャットウォークを設けて窓を管理できるようにして、窓の上を開けられるようにするなど、最近の高層建築までは高くない中層建築では新しい工夫が見られます。
清掃は屋上からゴンドラを下して人が行ったり、機械で行うなど、大がかりな清掃工事が必要です。
木の家でもFIX窓を採用しますが、ビル建築の問題である
日射の侵入による室内の温度上昇
ガラス面の清掃(特に外側)
遮光対策
プライバシーの確保
などを考慮しないと、明るくなったのはいいけれど、返って無い方がいいということでボードを中から貼ったりすることになります。
よく、デザイン住宅に住んでいる人が、大きなFIX窓に段ボールなどを貼っていることがありますが、自身で住む木の家がそのようになっては困りますよね。
そこで、FIX窓の効果的な使い方ですが、二階の天井を屋根まで高くした打ち上げ天井などの高い位置につけることがあります。
打ち上げ天井は普通の窓より高くなりますので、暗くなる傾向があります。
そこで、天井に近い高い位置にFIX窓を付けることで、開放的な天井空間を明るくすることができます。
庇があって直射光が入らないようにして、汚れが目立たないように透明のガラスを使わないなどの工夫が必要です。
小田原の家の二階の部屋の打ち上げ天井のバルコニー側に、台形のフィックス窓を付けました。
また、なるべく部屋を明るくしたい場合に、床から腰の高さまでの位置に腰窓として付けることもあります。
開閉ができると転落防止を考慮しなくてはなりませんが、フィックスですとそれを気にせず採用できます。
この場合は上に引き違いの窓を付けるなどして、清掃できるようにする工夫して、かつ和紙調のフィルムを貼ってプライバシーを確保しています。
ガラスはすべてペアガラスです。
嵌め殺し窓というと怖いですが、上手く工夫をすると光を取り入れるだけの窓ですが有効に利用できます。
これからはフィックス窓と呼びましょう