2)手造りキッチン
システムキッチンは工場で精度高く加工され、使われる金物=ハードウェアもしっかりしたものが使われますので、安心して取り付けられます。
その取り付けを見ていると、図面どおりに作られた箱がマニュアルに従って段取りよく組み立てられます。
まさにシステム化された住宅部品のコンポーネントシステムです。
一方で、システムはシステムなりにできることと、できないことがあります。
扉をなくすだけでも、メーカーのマニュアルになければ、独自に自己責任で外さなくてはならないこともありますし、できたとしてもかえって割高になる場合もあります。
そこで、住まい手の方の細かいニーズに答えるために、キッチンを現場施工で造りこともあります。
そのためには、細かい施工用の図面=施工図を描かなくてはなりません。
システムキッチンですとメーカーがある程度の要望を言えば、システムの中でできることに限って図面を書いて、見積までできます。
その点、手造りキッチンは設計、見積、施工管理、設計監理にわたって、煩雑な作業が伴います。
それでも、現場で作り上げたキッチンの喜びは、その苦労を乗り越えさせてくれます。
これは印西の家のキッチンです。
カウンターはカウンターメーカーの製品を現場に納入し、大工さんが骨組みとなる箱を製作し、その上にカウンターを載せて、最後に建具屋さんが扉や引き出しを取り付けます。
パッと見ると、木のシステムキッチンのように見えますが、カウンターとガスレンジ、レンジフードなどの機器以外は手造りです。
扉の素材は無垢の杉の集成板です。
引き出しも組み込んであります。
キッチンの端には、両面から使える天井までのトール収納が造られ、キッチンと一体的にデザイン、施工されています。
反対側には食器収納も造られて、全体として木の家の木のキッチンとしてコーディネートされています。
手造りキッチンで料理ももちろん手造りです