33)屋根断熱と屋根通気
床の断熱材の施工が進むと、屋根の断熱材の施工に取り掛かります。
これまでの多くの家の屋根周りの断熱は、水平に張る天井の場合はほとんどが天井懐内の断熱です。
天井の下地木材の上に布団を敷くように断熱材を敷きこみます。
しかし、天井の下地木材を上から吊るすための「吊木(つりき)」という木の棒が天井内に下がって降りために、布団のように敷きこむ断熱材が吊木に当たって、断熱材の隙間ができます。
すると、水蒸気を含んだ暖かい空気がその隙間から天井内に進入し、結露や熱損失に繋がります。
防湿フィルムなどの施工もされますが、気密化の施工限界がどうしても発生します。
そこで、木の家づくりネットワーク/フィールドネット一級建築士事務所では、二階の天井が水平であるか無いかは別として、すべて屋根の直下で断熱する「屋根断熱」を基本としています。
屋根の下から上を見上げています。
中央の一番高いところにあるのが棟木梁(むなぎばり)です。
その両側の少し低いところにあるのが母屋梁(もやばり)です。
それらに直角に交差して、斜めに取り付けられているのが巾45ミリ、高さが150ミリの垂木(たるき)という屋根の下地木材です。
その上にあるのが屋根のすぐ下にある杉の野地板(のじいた)です。
その野地板の下、垂木の間に断熱材をはめ込みます。
その時に重要なことが、野地板と断熱材の間に屋根通気層を確保することです。
そのための部品の一つが通気くんというダンボールの通気層確保のためのスペーサーです。
これを野地板の下に取り付けてから断熱材をはめ込みます。
奥の方から手前に向かって、徐々に断熱材がはめ込まれていきます。
断熱材の厚さは138ミリですので、はめ込まれる垂木の高さは150ミリです。
少し下がっていますが、木材で最終的に下から押さえ込みますので、落下することはありません。
これは、断熱材やスペーサーが施工される前の軒先側の屋根の下側です。
野地板の一番下側にわずかに隙間がありますが、この隙間から外壁の防水通気シートの通気層の空気が入ってきて、屋根の通気層を伝わり、一番上の換気部品から排出されます。
家全体が通気できることにより、結露防止と夏の屋根の暑い空気を排出します。
綺麗に屋根断熱材の押さえと打ち上げ天井の下地用木材が施工されました。
家全体が木から生まれた断熱材=ウッドファイバーに包まれたような、本物の木の家です。
快適な木の家は屋根断熱