14)屋根遮熱の課題と新塗料
夜は別として昼間はだいぶ暖かくなり、春の足音が聞こえるようになりましたが、となると夏の暑さの記憶が甦りますね。
木の家の外壁、屋根のメンテナンスリフォームにおいて、ガルバニウム鋼板屋根の塗り替えがポイントになります。
単なる再塗装ではなく、太陽熱からの遮熱性機能を加えた塗料が発売されています。
一般的になりつつある遮熱塗料は「反射依存型塗料」という性質があり、太陽光に含まれる近赤外線領域の光を塗料に含まれたセラミックスなどの混和材により反射させます。
光を反射させることにより、屋根表面の温度を下げ、熱伝導、輻射熱放射による室内温度の上昇を抑え、省エネと快適性を得ようとするものです。
そうした光反射型の塗料は、初期段階においては高い性能を発揮しますが、都市特有の大気汚染による表面の汚染、汚れにより時間の経過と共に反射性能の低下が起こります。
最近、中国から飛来するPM2.5などのほか、排気ガスによる黒色の汚れ、埃、チリなどが屋根面に付着することで、反射率の低下が今後の課題となっています。
また、隣接住宅への反射公害を発生させるリスクが懸念されています。いわゆる、照り返しや眩しさによる近隣トラブルを引き起こすことがあり、性能が高くなればなるほどその問題が大きくなります。
その課題を克服する新たな塗料が既に発売されています。
木の家づくりネットワークでは、新築後15年前後経った木の家の屋根、外壁の塗装などにおいて、その二つの塗料を使用して屋根塗装を行い、住まい手の実感に繋がる効果を生んでいます。
その塗料は「熱放射型塗料」と「熱交換塗料」の二つがあります。
「熱放射性塗料」は塗料に含まれるセラミックスが、光を反射すすのではなく、熱を放射することで、室内への熱の侵入を抑えるものです。
国産宇宙ロケットの外部に塗料として使われた開発素材を民生用にオープン化され、実用化された「ガイナ」というものです。
効果は高いのですが、塗料の色が白色系で無いと効果が得られないため、外壁には最適ですが、屋根面が道路から見えないなどの条件で無ければ屋根には使い難いという課題があります。
もう一つは「熱交換塗料」と呼ばれるもので、塗料の中に含まれる混和材が太陽熱を運動エネルギーに交換して、熱の侵入を防ぐものです。
熱交換塗料は「ネオコート」と呼ばれ、色は黒色系も可能なため、屋根材の塗料としては汎用性があります。
光を反射するのではなく、熱を運動エネルギーに変換、交換することにより、室内環境の蓄熱を遮蔽するため、屋根面の汚れなどによる性能の低下は見られません。
また、この塗料は屋根面だけでなく、遊歩道や学校のアスファルト系舗装材の上にも使用され、夏場のランニングが快適になったり、子どもたちが夏の校庭に直に座ることが出来たりするなどの効果も得られています。
今年の夏の遮熱は今から対策を。