7)木組みの設計
実施設計もほぼ中盤に差し掛かってきますと、木組みの設計に入ります。
プランニング段階でも構造的検討を併行して行っていますので、その検討をさらに具合的に詰めていきます。
まず、柱の位置をプロットし、窓と壁、特に地震や風圧の揺れに対して木組みを木組みを守る耐力壁の位置がバランスよく配置されているか、耐力壁の量(強さと長さ)が長期優良住宅の耐震性を凌ぐ、住宅性能表示の耐震等級3、台風等級2という最高等級を目標に検討します。
さらに柱と柱を繋ぐ梁をどのように掛けるかが大きなポイントです。
理解しやすいように色鉛筆で梁の種類に応じて色分けし、木の家の空間がきれいな立体構造になるようにスタディを繰り返します。
ここでの設計が上棟式の木組みそのものに反映されるため、手間を惜しまずより良き木組み、より良き木の家のために検討を繰り返します。
この段階で問題を残したり、保留したりしたことは必ず大工の加工や現場段階で問題となるだけでなく、無理な木組みは力の流れが滞るやすく、結果として住まい手の家族の命を災害から守るという基本的使命が果たせなくなります。
基礎から、一階の土台、二階の床、二階の天井の高さのの梁と屋根の木組みという順番で、徐々に上に上がって、また下に下がるように見ていくことで基礎に戻ります。
梁の掛け方が決まってくると、梁の大きさ(高さ)を略算によって仮に決めていきます。
最終的には構造計算によって決められますが、この段階では大まかに決めて、木組みの部材同士がバランスよくつながっていくかを検討します。
小田原の家では、中央に吹き抜けがあるため、二階の床が一部無いことになり、地震時の水平方向の揺れに対して、床が弱くならないようにする工夫が必要でした。
二階のキャットウォークに斜め45度の梁=火打ち梁を入れて床の剛性を高め、吹き抜けを囲むようにすることで弱点を補強し、通し柱で周りを囲み、そのうちの1本の通し柱を24センチ角の大黒通し柱にすることで安定性を高めました。
また、屋根には厚さ30ミリのあぜくら板を天井板と防火屋根を兼ねて蓋をするように葺きます。
その上に、屋根の下地木材=垂木(たるき)を載せて、外断熱とすることで、構造的安定性と防火性、断熱性、吸放湿性、デザイン性の一挙六得を実現しようとするものです。
このスケッチを図面化していきながら構造計算を始めます。