8)断熱性能を知る
木の家の断熱は必須性能です。
せっかく二酸化炭素を固定した木材を使って木の家をつくっても、その後の生活の冷暖房、給湯などで二酸化炭素を放出しては、木の家の意義も失われかねません。
快適な木の家をつくって、地球環境に負荷を与えず、次世代に受け継いでいくためには、断熱のことを理解することがとても重要です。
そこで、断熱性能を理解し、比較検討するための一つの道具に
熱伝導率=λ(ラムダ)
熱抵抗値=R(アール)
という性能表示の数値があります。
●熱伝導率は、物質の熱の伝わりやすさを示す数値で、その数値が小さいほど断熱性が高いことを示します。
単位はW/mKで表され、厚さ1メートルの材料の両面に1℃の温度差がある場合に、1時間あたりでどれくらいの熱量が移動、通過するかを表した数値です。
物質の断熱性を表す数値としての基本的なものです。
●熱伝導率は材料自体の性能を表すのに比べて、その厚さの状態を組み込んだ断熱性を表すものが熱抵抗値です。
例えば、外張り断熱で使う断熱材は、ビスで木材の外側に留めつけるため、やたらと厚くすると外壁の地震時などの挙動に弱くなりますので、あまり厚くできません。
また、充填断熱では、壁や屋根の厚さ以上に断熱材を充填することはできません。
住宅の断熱工法によって、断熱材の厚みが左右されます。
そこで、その住宅の壁や、床、屋根などの部位ごとに断熱性を表示することで個別の家の断熱性を表す必要があります。
そのために、個別の住宅で使われる断熱材の種類と厚さで断熱性能を表したものが熱抵抗値(R)で、単位はm2・k/Wで表されます。
●熱伝導率と熱抵抗値の関係は
熱抵抗値(R)=d(断熱材の厚さ)/熱伝導率(λ)で表すことができ
断熱材の厚さを大きくして、熱伝導率が小さい断熱材を使えば、断熱性能が高い住宅にすることが出来ます。
とかく、数値競争をしたがりますが、断熱材、断熱工法の検討には、こうした基本的な断熱性能数値以外にも勘案しなければならないことがあります。
・コスト
・製造から輸送に伴う消費エネルギーの大小
・施工性の良さ
・人、環境への安全性
・サステナビリティ
・リサイクル性
・吸放湿性
・防火性
・防虫性
・耐水性
・原料の化石燃料依存度
・性能の持続性
などを総合的に勘案し、適材適所で検討する必要があります。