6)骨太な木組み
今ではあまり言われなくなったかもしれませんが、「柱はやっぱり4寸だよね」ということがよく言われていました。
花火でも地方の大きな花火大会では、尺玉(直径30センチの花火玉)ならば最後のトリだねと言われるように、柱も4寸角が標準的で、大黒柱は尺角などと言われてました。
木の家は木組みで持つと言われたように、太い柱や梁は安心の象徴でした。
戦後に都市部で大量に住宅を建設しなければならないときは木材が逼迫し、田舎の家のように大きな柱を使うことができずに、少しでも木材を節約するために柱や梁が小さ目に利用されました。
長屋の家のようにいつかは火事で燃えてしまうかもしれないもので、なるべく安くとりあえず作ればいいという感覚で考えれば、木組みの材料は細い方が合理的だったのでしょう。
しかし、一生に何回も建替えられないこれからの時代では、少しでも長く、地震に強く安心して住むことができる木の家の木組みはしっかりとした骨太な木組みが一番です。
最近でこそやっと4寸角の柱=12センチ角の柱が少しずつ増えてきているとはいえ、まだまだ標準とはいえません。
しかし、木の家の木組みの最小寸法は4寸=12センチです。
一回り小さい柱は10.5センチ角ですから、長さでは1.14倍ですが、面積ですと1.3倍の面積の違いです。
柱が太いことは、その上にある梁も太くなり、木の家全体では1.3倍以上の木材を使いますが、それ以上に構造的安心が高まります。
木の家の弱点は、長さに限界がある木材を繋いで一つの木組みにするために、木と木のジョイント部分=接合部がどうしても発生することで、その部分が強度上の弱点になるからです。
その部分を強くする最も基本的なことが、木材の太さを大きくすることです。
木と木の接合部がお互いに接触する部分が広い方が、地震や荷重を伝え合いながら一体性を高めて、弱点をカバーするからです。
先日、立柱式が行われた興福寺の中金堂の36本の柱もカメルーンから取り寄せたとのことですが、大人二人でも一抱えできないほどの太さです。
土台、柱、梁の木組みの幅は12センチ以上の骨太な木組みにすることが基本と思われます。
やたらと大黒柱や太い柱を使うことは必要ありませんが、標準の柱は4寸角=12センチ以上が基本です。