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6)冬暖かく、夏暑くない木の家の性能

北浦和の家の設計が詳細を除いて終わりました。

その図面に基づき建築材料の数量や手間代などの工数を積算して、見積依頼をしながら、見積書もまとまりました。

一方で、確認申請も性能評価機関の審査も終わり、後は決済待ちです。

そして、フラット35Sの性能適合審査を断熱性能評価で受けるために、計算ソフトを使ってQ値計算をしました。

Q値計算とは「熱損失計算」といい、木の家の屋根、壁、床、窓などの断熱性能を計算して、家全体から外部に逃げる熱量の大きさを計算するものです。

その数値が小さい方が、木の家の中から外へ熱が逃げにくいことになり、断熱性能が高く、冬の暖房エネルギーが少なく済みます。

それはまた、家全体の冬場の温度ムラが少なく、全館暖房が可能になります。

設計するときに、断熱材や断熱性のある窓をどのように組み込むかを検討しながら設計し、その結果を熱損失の大きさとして計算します。


上の票が家から逃げていく熱を屋根、壁、床、窓の部分毎に集計することと、換気によって熱が失われることの合計を示しています。

全体の熱損失が265W(ワット)であるのに比べて、窓~の熱損失が126Wであることが分かります。

全体の熱損失の約半分が窓から逃げていくことが分かります。

最終的に熱損失量の全体を床面積で割った数値がQ値です。

右下の2.675というのがQ値です。

浦和地域は断熱性能区分地域でⅣ地域になり、その地域のQ値の基準値が2.7以下であると、次世代省エネルギー基準を満たし、フラット35Sの住宅ローン金利優遇や様々な税金の減免が受けられます。

また、夏に暑くない家を目指す時に、その性能を測る数値がμ値(ミューち)です。

太陽光によって家の中に入り込む日射エネルギーの大きさを示しています。

何もない外部の水平面が受ける日射エネルギーに対して、家の中にいるとそのエネルギーをどの程度遮蔽できるかの目安です。


上の表は、窓から入ってくる日射を方位別に、窓の枠とガラスの断熱性能毎に集計して合計しています。

庇が有るか、無いかも影響します。

右下の数値が3.864になっています。

 

上の表は方位別に、壁、屋根の建築躯体がどの程度の熱を中に取り込むかを示しています。

断熱性能が高い方が中に取り込みにくくなります。

右下の数値が1.263になっています。

窓の方が3倍近い日射を取得していることが分かります。

窓と建築躯体の日射取得の合計が5.13で、それを床面積で割った数値が0.05になっています。

Q値と同じく、浦和地域のμ値は0.07以下ですので、問題なくクリヤしています。

これらの結果をまとめたものが以下の結果集計です。

年間暖房エネルギー消費量が表示されていますので、どのくらいの暖房費になるかが計算できます。

このようなQ値、μ値計算をして、フラット35Sの適合審査申請を行うことは関東地域では稀のようです。

一般的には、断熱材を何を、どのくらいの厚みで、どれだけ入れるか、
窓をどのようなものを使うかなどを記入する「仕様規定」で申請します。

しかし、本来はその性能がどのような数値であるかを確認して始めて、
きちんとした設計と性能がクライアントに提示できるという意味で、この様な計算は必要と考えています。

年間を通して、快適な生活環境を提案することが、設計の大きな意味でもあります。

すべての木の家にQ値、μ値計算を