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37)湿気を逃がして、雨を断つ

左官仕上げの外壁は、サイディングなどの既製品建材の仕上げに比べて、手仕事の風情が感じられて飽きが来ませんね。

 
しかし、左官壁の外壁としながら、壁の中に湿気を滞留させないための通気工法とするのは特殊な工法が必要でした。
 
そこで、木の家づくりネットワークではオリジナル工法として左官外壁の通気工法を開発、採用してきました。
 
しかし、第三者機関の性能評価の設計審査においてはサイディングの通気工法を前提としていたために、評価を受けるに当たって、見解の相違が見られました。
 
そこで、新たにメーカーが開発した優れものの「通気防水シート」を採用することにしました。
 
大阪の山中製作所が開発、販売する「エアーパッセージシート」です。
 

 

 

段ボールの切り口と同じ形の切り口です。

木の家の室内の外気より高い温度で、水蒸気を含む空気が、外部に移動するときに発生する湿気をシートの中の通路を通気層にして、上へと排出する機能を持った防水シートです。

 

 

ロール上に巻かれたエアーパッセージシートの切り口を上から見た写真です。

切り口が段ボールのようになっているのが分かりますね

この通気層を湿気を含んだ空気が上に移動するのです。

 

これを杉の外壁のラス板の上から張り込んでいきます。

 

 

杉の無垢のラス板が覆われて、見えなくなってしまいました。

外側は雨や湿気が入らないように防水性能があるシートです。

 

小さな窓の周りにもきれいに張り込まれました。

このシートの優れた点は、水蒸気を含んだ空気を上だけでなく、横にも移動させることが出来る点です。

窓の下で、空気が行き場を失わないように、横にも移動して、縦の通気層につながることで最終的に屋根の下の位置で外に逃げていきます。

これで、壁の中で湿気が滞留することで腐りやすくなることを防いでくれます。

外からの雨は中には入りません。

 

このように伝統的な素材を使いながらも、日本の気候風土に合わせた耐久性向上の最新技術を常に検討しながら、良いと判断されるものは採用、提案していきます。

単に昔の家づくりに回帰するのではなく、新しい技術とコラボしながら、より良き木の家づくりを目指していきます。

 

温故知新の現代の木の家です