27)イボイボの防水ルーフィング
屋根の下地板=杉の野地板(のじいた)をしいた後は矢継ぎ早にブルーシートで雨養生します。
野地板が濡れるだけでなく、その下の断熱材やあぜくら板が濡れては大変なことになります。
そこで、早速にブルーシートとテープで防水しておきます。
これなら、いつ雨が降っても心配ありません。
この後は屋根瓦の下に敷く防水ルーフィングですが、このブルーシートも剥がさずにその上から敷くことにしました。
ルーフィングを下から張っていき、万が一瓦の隙間から雨が入った場合でも、上からの雨水が下に廻らないようにします。
その上から瓦の寸法に従って、墨を打ちます。
墨を打つということは、ルーフィングの上から朱色や黒の墨壷を使って、線を引くことです。
その線に沿って、瓦を引っ掛けて留めるための、木の桟=瓦桟(かわらざん)をステンレス釘で留めて行きます。
杉の木桟は腐らないように防腐処理をしてあります。
さて、イボイボのルーフィングですが、この写真のように防水ルーフィングの上に、丸いイボイボの突起が付いています。
高分子オレフィン系の防水材で、釘を打ち込むとその回りが盛り上がり、水を通し難い性能があり、止水性、防水性が高いです。
チャンピオンと言う面白い名前の会社の製品です。
このイボイボが重要です。
瓦と瓦の間には隙間がありますので、良い意味ではかわらの下の空気が循環して、蒸れずに耐久性を高めてくれますし、瓦の隙間に入った雨も天気の日には蒸発します。
ただし、入った雨はかわらの下のルーフィングの上を下に流れていきます。
そのときに、先ほどの瓦を引っ掛けて留めるための木桟がダムのように雨水を貯めてしまうと、そこから木桟が腐ったり、雨漏りのリスクがあります。
そこで、イボイボが木桟とルーフィングの間に隙間を作り、雨水を下に流してくれます。
よく考えたものだと、開発者に感謝します
上から下を見たところです。
イボイボが線に見えますのが、このイボイボの間を雨がスムーズに流れます。
横から見るとこんな感じです。
これも瓦屋さんが長い間の経験から採用した工法です。
ほぼ、全部の瓦桟=木桟が取り付けられました。
実は、日本に瓦が伝わったころには釘が高価で使えなかったので、かわらを葺くときは沢山の土を乗せて、その上に瓦を乗せる土葺きでした。
凹型の瓦と丸型の瓦を交互に組み合わせて葺いています。
京都や奈良のお寺ではまだその方法で葺かれています。
江戸時代に入り、一枚の瓦で凹型と丸型の瓦の機能を持った瓦が発明され、かつ、土をなるべく使わないで瓦桟(かわらざん)=木桟を使って留めつける「引っ掛け桟瓦」という現在の瓦が完成されました。
これは世界的にも珍しい、誇るべき屋根材です。
屋根の軽量化にも貢献し、美しい甍の波を形作ります。
深谷のいぶし銀黒瓦の登場待ちです