24)棟が上がりました
二階の柱を建てたあとは、二階の天井の高さにある梁を組んでいきます。
調布の家は、新・あぜくらの家の造り方ですので、浴室やキッチンなどの水周り以外の木組みはすべて見える=木を現す造り方です。
木組みを造っていくときも、なるべく傷をつけないように気をつけて組んでいきます。
掛け矢(かけや)で柱や梁を叩いて組み上げていくときも、傷つけないようにあて木(あてぎ)をあてて、その上から叩いていくなど、乳飲み子をあやすように扱います。
特に杉は柔らかいので、ちょっとしたことで傷がつきます。
二階の外壁周りの梁を組むと家の形が見えてきます。
その後に、中央の丸太大黒通し柱に向かって、内側の梁をかけていきます。
その梁にたいして、直角にもう一つの梁をかけていくと、二階の木組みもしっかりしてきます。
やはり、ここでもレッカーは力持ちです。
そう考えると、昔の太い柱や梁の木の家は、木組みを加工することはもちろんですが
、立てることもとても大変な行事ともいえる仕事でした。
地域のみんなが、総出で力をあわせて造ってきました。
そう簡単には作れませんので、何代にもわたってメンテナンスをしながら使いましたし、
造るときも地域のみんなの共同作業でした。
近代化、現代化によって、家づくりは個人の世界に収束し、工業技術で早く、安く、なるべく簡単に作る家に変わりました。
技術力の良い面を活かしながら、みんなの木の家、みんなが幸せになる木の家を広い意味で考えていかなくてはと思います。
さて、一階では柱の垂直を確認して、まっすぐに修正するための「建て入れ調整」が行われています。
二階の角に、斜めに入れる「火打ち梁」と言う梁を入れると、木組みが動かなくなってしまうので、その前に行います。
そして、いよいよ屋根の木組みです。
二階の梁の上に屋根の木組みの柱ともいえる「束」(つか)を建てて、その上から屋根を支える梁の中でも一番上にある「棟木」(むなぎ)と組みます。
さらに、棟木より低い高さにある屋根の梁「母屋」(もや)も組んでいきます。
だんだんに、三角屋根の斜めのイメージが出来上がってきました。
そして、屋根の木組み=小屋組み(こやぐみ)が完成しました。
左から右に向かって段々に高くなる母屋、そして棟木です。
下から見上げると、大きな木組みが豪快に組みあがっているのが見えますね
斜めに見えるのは、方杖(ほうづえ)と言う梁で、小屋組みが地震や風圧で横に揺れるのを防ぐ、筋交い(すじかい)のようなものです。
瓦が乗りますので、しっかりと造ります。
道路から見ると、小屋組みが大砲のように太く突き出しているのが分かります。
さあ、これから屋根です