5)節電する窓=越屋根窓とハイサイドライト
昨日のブログでご紹介した養蚕農家の越屋根とその機能を組み込んだ市営木造住宅の越屋根窓(こしやねまど)はその後も研究を重ねられ、木の家づくりネットワークの木の家において様々に設計、施工されました。
その中の一例が松戸の家 です。
和風の瓦屋根の大屋根の上に越屋根窓が設けられました。
東西方向に腕を広げたように伸びやかに差しかけられた瓦屋根の上に、小さな帽子のような越屋根と窓=越屋根窓です。
二つの横長の「横すべり出し窓」が付いています。
少し下が開いているのが分かります。
庇がありますので、直射日光や雨が入り難く、かつ、下に開きますので、不意の雨にも吹き込みが防げますね。
これが閉まったところです。
間接光だけが内部に入ります。
こちらが越屋根窓の下の二階の階段ホールです。
天井が打ち上げられ、大きな空間ボリュームですが、さらに越屋根の部分が高く打ち上げられています。
上の右側に見える二つの窓が越屋根窓です。
画像ではよくわかりませんが、窓の端の開閉装置からチェーンが下の柱まで伸びて、階段ホールで窓の開閉が簡単に出来ます。
開ける大きさも全開から、全閉の間で自由に調整できます。
また、南側のバルコニーに出る引き違い窓サッシの上にも、二つの窓がついています。
この窓は二枚一組のペアガラスのようなガラスルーバーが細かく組み込まれ、やはりチェーンで下で開閉ができます。
壁の高い位置についているので「ハイサイドライト」と呼びます。
空気は暖まると軽くなり上昇する性質があります。
それを「ドラフト効果」と呼びます。
夏場の熱い空気が天井に溜まって輻射熱で頭が熱いように感じがしますが、その暖まった空気を外に排出することで、蒸し暑さを防ぎ、さらに緩やかな空気の動きをつくり体感温度を下げてくれます。
また、夕方からの放射冷却を利用して、夜半まで越屋根窓やハイサイドライトを開けておけば、家全体の空気の入れ替えと冷却が出来ます。
ブラインドなどでの日光の遮蔽と併せて、その日の気候条件を体で感じながら操作して、木の家を快適な生活の道具として使います。
住まい手の方も、酷暑の数日間以外はエアコンを使わずに済んでいるとのことです。
快適生活の道具としての越屋根窓、ハイサイドライト