2)アルミサッシの開閉方式
フィックス窓という開かない窓も使い方によっては喜んでもらえたり、迷惑がられたり、いろいろありましたが、窓は本来開け閉めするもの。
その開閉方式の種類をご案内します。
1、引き違い窓
これは最も標準的なものでよくご存じの窓です。
左右のガラス障子(ガラスとその周りの枠のこと)をどちらにでもスライドさせることができます。
日本の伝統的な引き戸がアルミサッシになったものです。
輸入サッシが出始めたころ、欧米では片方のガラス障子が固定されていて、片方しか開かないタイプが標準でしたが、日本では受け入れられませんでした。
合理的に考えれば片方だけでよいのですが、やはり習慣がものを言ったようです。
高さは天井まであり、幅も3、6Mまでありますので、日本の開放的な窓を求める時によく使われます。
ただし、最近はペアガラスが一般的になっていますので、ガラス障子を大きくして開放的にすると、サッシを外すことはプロでなければできませんの注意です。
万が一ガラスが割れて、交換するときは工事費用が高くつくことを了解しなくてはいけません。めったに割れませんが。
中央のクレセントという鍵の他に、下に補助錠が付いていますので以前より防犯性が高くなりました。
床までサッシの窓を「掃き出し(はきだし)窓」と言いますが、掃除機が普及する前は箒(ほうき)で掃いてホコリを外に掃き出していましたのでそのように呼びます。
腰の高さの窓は、その名の通り「腰高窓」と呼びます。
天井に近い位置に付けられる窓は、「欄間(らんま)窓」といいます。
昔の日本の家にはよくありました。
また、雨戸を付けることが可能で、雨戸本体のデザインや少し高いですが通風できる雨戸やシャッターなどもあります。
シャッターは外側にボックスが付きますので、デザイン的には避けたいところですが。
木製の造り付け雨戸を組み合わせることも可能です。
2、縦すべり出し窓
縦に細長い窓で、ガラス障子が外にスライドするように開きます。
縦方向が滑るように開くので、縦すべり出しと呼んでいます。
この写真は外から見ています。
幅が取れない場所で、少しでも光と風を取り入れるのに適しています。
左右の開き勝手が選択できますので、通風の方向や隣家との関係から判断して決めます。
3、横すべり出し窓
縦すべり出し窓の開閉方式を、縦から横に変えたもので、窓の形も横長から正方形になっています。
横方向に外にスライドさせて開くので、多少雨が降っていても、少しだけあけて通風をとるなどの工夫ができます。
縦すべり出し窓よりも大きめの窓にできるため、中間的な大きさの窓として使われます。
引き違い窓だと、中央にサッシ障子の枠が縦に出てきますので、それが無いためにシンプルな窓にすることができ、外の風景も絵のように見えます。
ガラスの掃除のときには、枠の金具を緩めると水平近くまで出せるので、外側も清掃しやすいです。
4、ルーバー窓
幅の狭いガラスが横方向にルーバーのように付いていて、レバーやチェーンなどで開閉できます。
ガラスを水平にの角度まで調整できるので、全面通風から、微風まで自在に設定できるのがメリットです。
以前のものは防犯性に弱点がありましたが、現在のものは改良されており、ガラスが二枚のタイプ=ダブルルーバー窓は断熱性も得られるため好評です。
ただ、ガラスの枚数が多いのでクリーニングにすこし手間がかかります。
透明でなく、半透明の型ガラスだと汚れが目立ちにくいです。
5、押し出し窓
フィックス窓のように見えて、ハンドルを回すと、ガラス障子全体が外に5センチほど押し出されるサッシです。
ガラス一枚だけで外の景色をきれいに見せたい時などに使います。
隙間風が窓の四周から出入りするので、意外と通風性が良いです。
この他にも、サッシの下半分を上にスライドさせて開ける、「上げ下げ窓」などもあります。
フィックス窓以外のすべての窓には網戸が付けられます。
日本では網戸はオプションなどではなく、必需品ですね。
この他にも微妙なデザインや工夫を凝らしたものもあります。
このような様々な開閉方式の窓をプランニングと併せて、設計時に検討していきます。
ある程度プランが固まってきたら
窓の大きさ
取り付け位置、高さ
開閉方式と方法
クリーニング
網戸の操作方法
サッシの色
ガラスの種類と防火性
ガラスとサッシ本体と枠の断熱性
防犯性
デザイン
などについて、確認しながら打ち合わせをしていくことがよいでしょう。
最近は断熱性、防犯性が注目されています