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62)完全無農薬畳

内装左官壁や和紙張り下地の仕事の合間に畳の採寸に入りました。

 

本来でしたらさほど慌てることもないのですが、震災の影響で建築材料の品薄が続いていますので早めに入ってもらいました。

 

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さて、畳は関西では引っ越しの際に持っていくもので、どこの家でも使える大きさで規格が統一されていました。

 

柱を除いた、柱と柱の間の距離が部屋に広さ(8畳だったり、10畳だったり)が同じであれば寸法はどの家でも同じに設計されていたからです。

 

俗に言われる「関西間」と呼ばれる部屋の広さであり、畳の大きさでした。

 

畳の大きさが3尺×6尺(909×1818ミリ)を基本としているため、部屋の広さを表す畳数と実際の広さに違いはありませんでした。

 

その後、江戸時代に入って高密度化した街づくりと建築方式の合理化により、柱の中心線の間の距離で規格を決めるように変更した為、柱の太さの分だけ畳も3尺×6尺よりも一回り小さくなったのです。

 

いわゆる「関東間」です。

 

部屋が小さくなればなるほど割合的に小さく感じます。

 

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畳の寸法どりは部屋の4辺の長さと対角線距離を測って決めます。

 

畳の際の造作木材の狂いなどが無いかを確認しつつ、糸を張って寸法を採ります。

 

木の家散歩

 

採寸後に畳の床メーカーに発注します。

 

畳は床(とこ)と表(おもて)と縁(へり)の三つによって構成されます。

 

以前は床も畳屋さんが作っていましたが、現在は三つともメーカーが作った物を寸法に合わせて裁断して縫い合わせることが仕事です。

 

それも小さな機械や大きめの台型の機械など、どんどん機械化されています。

 

畳の芯である床は稲ワラを直角方向に交互に重ねて縫い込んだもので5段に重ねたものを推奨しています。


木の家散歩

時間がたっても床がへたらないように5層の本畳床を使います。

 

その床に使う稲が省農薬の稲を使い、かつ床の裏側に農薬を浸み込ませた防虫シートを張らない昔ながらの菰裏(こもうら)床を使います。

 

今は工場生産の床のラインでどうしても防虫シートが張られてしまいますので、ラインを止めてシートを外してくれる工場が少なく、それを一枚からでも引き受けてくれる宮城の床メーカーに頼んでいます。

 

しかし、この度の震災で地震災害の影響と物流の遅延で納期が定まらないため、多方面のメーカーに再交渉しましたが無理でした。

 

関東では千葉の市原が床メーカーとしては信頼できる産地ですが、防虫紙抜きは対応してくれません。

 

そこで、少しコストアップしますが同じ宮城の床メーカーの完全無農薬の5層の本畳床としました。

 

また、表は以前と変わらない熊本の八代の無農薬イグサ表です。

 

化学染料や染料入り泥染めを行わないものですので、少し色にばらつきがありますが大きな問題はありませんし、いずれ日に焼けて同じ色になります。

 

縁は福井県の綿100%のきなり色の中から建て主の奥さまと選んだものです。

 

畳屋さんは機械を使わない手縫いです。

 

完成引き渡し直前に敷き込みますがとても楽しみです。

 

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