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12)内蔵型ボルト工法

木の家を地震から守る構造エレメントの中の一つに木組み=軸組みの部材同士をジョイントしている部分=接合部があります。

 

日本の伝統的住宅=民家が各地域で保存されています。

 

その中に入ると大きな柱やうねるように横たわる梁に圧倒されます。

 

それらの部材のジョイント部分=接合部は金物を使わずに大工の手加工のみで組み木として作られています。

 

家全体が手工芸品、大きな手作りの住むための道具でもあり、工芸品でもあります。

 

生活の中で使われる食器や道具の延長線上にあり、それらは一本の大きな歴史、文化、風土にに貫かれています。

 

しかし、残されたものの影に沢山の失われた木の家があり、それらは残されたもののような大きく、太い木材を使うことができなかったものが多かったと思われます。

 

長い間におきたであろう大きな地震や自然災害に耐えるためには、大きい木材、太い木材を使う必要がありましたが、現代でも同じような木材を使うことは経済的にも、木材山地の事情からもなかなか難しい現実があります。

 

やはり、どうしてもコストアップになってしまうか、設備や他の部分を犠牲にしないと作れないというのが正直なところです。

 

細い木材で、金物をまったく使わずに接合することは、たとえ同じように作っても、骨太な民家とは似て非なるものになってしまいます。

 

そこで、戦後の住宅の構造的補強から、羽子板ボルトなどの金物が使われ、近年の建築基準法の強化から今ではまるで絆創膏のように金物を貼り付けるように補強することが一般的になっています。

 

しかし、日本の伝統的住宅の木組みの考え方は、木材の上から貼り付けるような工法ではありません。

 

木の中心を棒状にして、お互いの棒と棒が手をつなぐように、棒が抜けないように固定されるように接合されていくことで、力が木の中心を流れていく木組みの考え方です。

 

その考え方を、伝統的民家の木材よりも一回り細い木材を使っても応用できるように開発した工法が、木の家づくりネットワークのセルフレーム構造システム=CFSシステム です。

 

そこで使われる木材の接合部の方法や技術は変わっても、考え方、手法は伝統工法を受け継いでいます。

 

木の家散歩

これは二階の床を支える梁ですが、前後に渡された大きな梁=大梁(おおばり)に、左右から小さめの梁=小梁(こばり)が架けられていますが、伝統的な木組み加工を行ったうえで内蔵型ボルト工法によってさらに高強度に接合されています。

 

木の家散歩

これは一階から二階に伸びる一本の通し柱の4つの方向から梁が差し込まれ、内蔵型ボルトによって引き離されないように接合しています。

 

木の家散歩

これは、下だけではなく、上からも同様に接合していますが、梁成(はりせい)=梁の上下方向の高さが大きい場合などは、上下二本の内蔵型ボルトで接合されています。

 

内蔵型ボルトは木材の乾燥によって多少木木材が収縮しても、木の家の挙動によってさらに締め込まれる特殊なナット座金を使っています。

 

 

このような内蔵型ボルトで水平方向と垂直方向の両方で、木組みの構造計算のデータに基づいて構造設計を行います。

 

CFSシステムの考え方で木の家を造ることが、震度7の地震においても住まい手の命を守る木の家になることを確信しています。