9)ガスコージェネレーションシステム
断熱、気密、通風などの木の家本体の基本性能を高めた上で、どのような省エネ設備を搭載するかが今後の地球温暖化(高温化と言う人もいますが)防止への貢献のために重要になってきます。
木の家の省エネ設備の一つに「ガスコージェネシステム」があります。
汚染物質の排出が少ない都市ガス(天然ガス)を利用して、ガスエンジンで発電しながら、そのエンジンの廃熱を給湯、暖房に使う仕組みです。
これは2007年に松戸の木の家 で導入したシステム(エコウィル)ですが、当時は導入費用が高くその分国の補助金も恵まれていました。
現在はだいぶコストダウンされ手軽に導入できるようになりましたが、補助金は少なくなりました。
向かって左側にある小さな機械がガスエンジンです。
自動車メーカーが作ったエンジンを使ってガス発電で電気を作ります。
右側の大きな機械がガスエンジンの廃熱を利用して水をお湯に変えて貯めておく貯湯槽で、予備的な働きをする小さなガスボイラーも組み込まれています。
コージェネレーションシステムとは、ガスの燃焼によるエンジンにの回転から電気を発電すると同時に発生する熱を利用してお湯を作り給湯、暖房に使うという、一つのエネルギーから二つのエネルギーに変換して利用することからこのように呼ばれています。
特に、熱の利用を給湯だけでなく温水による輻射熱床暖房、パネルヒーター、浴室乾燥暖房などに利用することで、木の家の総合的エネルギー供給と言う意味で快適性にもつながっていることが特徴です。
民生、産業部門のエネルギーが徐々に電力に集中しがちな状況を個別なオンサイト発電に分散することで、電力のピークアウトの低減に寄与することができます。
電力の場合、発電所における廃熱が多く、送電ロスと合わせるとエネルギー利用率が40%ほどに低減されることに比べ、ガスコージェネでは85%になります。
ただし、天然ガスの搬送費や、ガス製造所、ガスパイプラインのイニシャル、ランニングコストと電力の発電所、送電線網の同様なコストの比較をしないと総合的には判断できませんので一つの参考ですが。
ただし、コージェネの省エネルギー性は確かに認められるところです。
また、もう一つの特徴として、太陽光発電と相性が良いと言われます。
これは、同じ発電システムであることだけではなく、生活時間帯とエネルギー消費のムラを相互にカバーできることから相互補完的なシステムであることからそのように言われています。
暮らしの中でのエネルギー消費量では朝の活動開始時と夕方から夜にかけての照明、給湯、暖房の利用時がピークを迎えます。
また、夏季の昼間冷房利用時などです。
朝夕の時間はガス発電で電気と熱をつくり、照明、給湯、暖房に使います。
昼間は太陽光発電の余剰電気を売電して経済性を高めます。
将来は蓄電池が開発されることでさらにエネルギーの有効利用が図られると思いますが、それまではエネルギー利用の負荷を学習して最適なガスエンジン利用のプログラムを持った制御システムでクリヤしていけるようです。
これは、電力のスマートグリッドと同じような、コージェネの賢い=スマートエネルギーシステムです。
まだまだ化石燃料を使わざるを得ない状況ですが、その中でも一歩ずつ前に進んでいくことで、徐々にグリーンエネルギー理想に向かって進んでいけるのではないのでしょうか。