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8)木組みの含水率管理ーその1

国産木材の普及が本格化してきましたが、その鍵を握るのが木材の乾燥です。


国産材の中でも杉が一番乾燥が難しい木ですが、それは水の木とも呼ばれる所以で、水の多い山地によく成長することからも伺えます。


地面の水を根から吸い上げ、そのまま20メートル以上にも押し上げて葉から蒸発散することは、逆に言えばその水を下に落とさないで保持している訳ですから、それを取り除くことは大変ですね。


昔は川で木材を運んで河口の貯木場に浮かべている間に、木の水を通す道管の弁をバクテリアが壊してくれることで、川からあげると乾きやすくなることを利用していました。


まさに、スロウビルドです。


今はそうも悠長なことも言っていられませんので、様々に工夫しながら乾燥させます。


無理やり高温乾燥すると、表面は綺麗ですが中で割れが生じて、強度に影響することも指摘されています。


しかし、自然乾燥だけでは、大きな柱や梁などの構造材は含水率 40%程度までしか乾燥できないことも分かってきました。


100年以上も前の民家の木組みをそのまま移築しても、現代の冷暖房による設備の中では、そこからまだ乾燥収縮が起きてきます。


そこで、金山町森林組合 では秋の時期に伐採した杉をその山に寝かせ、樹上部の葉を残しておくことで木の蒸発散作用を利用した自然乾燥=葉枯らし(はがらし)乾燥を行っています。


また、ちょうどこれからの雪の時期の木が活動を少なくする時期に伐採して丸太乾燥させる寒伐り(かんぎり)も行っています。


その上で、木材チップを燃料にしたバイオマス中温乾燥機で乾燥させることで、柱や梁の木組みを平均25%の含水率まで乾燥させています。


仕上げに使用する板材は平均で15%以下に乾燥させています。


このような乾燥が行われていないと完成後の生活の中で不具合や性能上の問題、木の家の寿命にも影響を与えかねません。


例えば、ドアや引き戸などの建具の不具合、木材の大きな割れ、床や壁などの歪み、木組みの接合部の変形による構造耐力の低下、乾燥収縮による隙間からの漏気、すきま風の発生、床鳴りの発生などです。


それでは、実際の木の家の木組みでの含水率はどの程度かにつきましては次回に報告いたします。

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