5)バルコニー防水ーその1
バルコニーはほとんどの住宅に設けられますが、雨漏りが発生しやすい部分の一つです。
特に下が居室の場合ですと被害が大きくなる場合がありますので注意が必要です。
最近は強風やゲリラ豪雨が多くなってきているため、いかに雨水から木材、構造躯体を守るかが木の家を長持ちさせるための重要課題になっています。
長期優良住宅や住宅瑕疵担保責任保険においても、防水の基準が明確に決められています。
バルコニーでは出入りのサッシの下端部からバルコニーの床面までの垂直部分の高さを12センチ以上とすることで、風雨により吹き付けられても雨水が入り込まないようにしています。
ただし、その反対にバルコニーのサッシのからの出入りには段差がつきやすいところでもあります。
設計上は床の梁を下げる構造設計により、サッシをまたがなくても良い構造にしています。
防水性能とバリアフリーがどうしても相容れないところがあります。
バルコニーの床から壁に立ち上がる防水層の高さは25センチ必要です。
さて、このような基準を満たしながら防水工事をきちんと仕上げるためには大工工事と防水工事の連携を調整することが必要です。
床と壁の立ち上がり部分に木質繊維の混ざった珪酸カルシウム板を張りますが、床は二重に張ります。
入り隅や出隅には「面木(めんぎ)」という三角形の棒を貼り付けたり、削りおとして角が尖らない様に処理します。
その後に、防水塗料が剥離しないようにプライマーと言う下地用塗料を全面に塗ります。
また、排水のためのドレーンの穴を事前に開けておき、角をパテ処理して雨水が溜まらないように処理します。
このような後では見えなくなる下地処理が、実は防水上の一番のポイントです。
出隅、入り隅の角の処理がうまくできていないとその上から施工する防水層が長い間に切れやすくなるからです。