5)杉の椅子
国産材の無垢のテーブルはいろいろ設計してきましたが、木の椅子となると少し難しいです。
中世の職人の椅子に比べて自由に作れるようになった近代家具の中でも、建築家やデザイナーが設計してきた椅子の多くは作品としての椅子の側面が強く、座り心地や長い時間座って疲れないなどとなると、なかなかこれと言ったものは無いようです。
作品として美術館などに展示されているものが多く、時代を超えて作られ、使われているものはハンス・ウェグナーの「Yチェア」などですが、日本では秋岡芳夫さんの「男の椅子」などがあり、座面高さが日本人の体格に合わせて低く、座面が大きめであぐらもかけるということでお薦めしてきました。
ただし、素材を無垢の国産材と言うことになると、家具作家や家具職人の木の椅子などが広葉樹で作られていたりしています。
その場合、座面が木のため固く、長時間座っているとお尻が痛くなることもあります。
作家性が強くなるとどこか座り心地が良くなかったり、やたらと重かったりします。
また、実際に座ってみることが重要で、そうなるとショップにおいてある作品を試してみることになります。
ショップが遠かったりしますと少し面倒ですね。
今回の金山杉のばっこん板のテーブルの設計、製作に合わせて、複数の椅子のご案内をホームページなどでご紹介して、実際にショップなどで座ってみて、最終的に杉の椅子にきまりました。
それは、鳥取県智頭町のサカモトの智頭(ちづ)杉の椅子です。
西日本では日本海側の厳しい冬を乗り越えた木目の細かく詰んだ智頭杉をさらに圧縮加工して、椅子の部材に利用しています。
しかも、直線的な固さを避けて柔らかく微妙な曲線を綺麗にデザインしており、女性的な優しさを感じさせてくれます。
背中の傾斜もゆったり寛ぐことが出来る丁度良いカーブと角度です。
何よりも、杉の赤身の色が綺麗で、家事をする女性にとっては軽さが有難いようです。
左側が肘掛け椅子、右側がサイドチェアです。
それぞれの座面の高さは座る人によって微妙に異なります。
座面は皮製で、少し固めのクッション材が薄めに張られています。
何よりも金山杉のテーブルとの相性が抜群です。
こうした国産の家具をお手軽な金額でお届けすることが出来ます。
国産の杉でもこうした椅子が作られて利用されることで、さらに国産材が生活の中にしっかりと根付いてくれることを願っています。