10)構造計算出来上がりました
小田原の家の構造設計と併せて進めていました構造計算が出来上がりました。
構造設計のスケッチに基き、上からの荷重や地震時の横からの力に抵抗する耐力壁(耐震壁)の力を下の柱に伝えて、最終的には地面に戻していくために、どのくらいの大きさの梁なら問題無いかを計算することを仮定断面の算定といいます。
その結果を踏まえて梁の大きさを決め、引き抜き力の確認により、柱と梁の接合部の設計が完了すると、それらの情報を構造計算プログラムに入力して、構造計算を行い、さらにその結果が問題ないかをフィードバックさせて、最終的な構造計算書が完成します。
A4版で厚さ8センチ、572ページにおよぶ計算書は、それらの隅々まで一字一句確認することはとても時間がかかります。
耐震偽装の問題が発覚する背景には、こうした許容応力度構造計算というコンピュータープログラムを前提としなければ解析できない膨大なデータとその計算が必要なシステムがあります。
第三者機関に認定されたプログラムを使用して、忠実に且つ疑念の視点も持って構造計算を行うことは、資格者としての倫理観が無ければ成立しないことは、われわれ当事者が一番理解しています。
一般的な二階建ての木の家の構造計算をこのように大規模な建築物と同じように行っていることは稀であるかもしれませんが、建築主と社会にとって安心して住むことができる資産としての、社会的なストックになる木の家を残していくためには、これからもコツコツと続けていかなくてはならないと、この計算書を見るたびに思います。