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4)メートルと尺

仕事をしても報酬が割りに合わなかったり、仕事に見合った評価を得られないときに、「間尺に合わない」と言ったりします。


このときの間尺とは日本の伝統的な建築における寸法、重量の体系「尺貫法」のうち、長さの単位の「尺」を基本とした寸法に合わない状況からきています。


伝統的な木の家の設計、施工には1間(けん)=6尺、1尺(しゃく)=10寸、1寸(すん)=10分(ぶ)、1分(ぶ)=10厘(りん)という体系です。


メートル法に移行するにあたって、尺=303ミリとされたため、1間=1818ミリ、1寸=30.3ミリ、1分=3.03ミリ、1厘=0.303ミリとなりました。


ここで、大した事が無さそうな相手でも舐めてかかってはいけないという戒めに「一寸の虫にも五分の魂」という諺がありますが、半分が魂ということをどう解釈しているのかわからなくなりますが・・・・。


話を元に戻しますが、この換算によって大工が木材を加工する加工場で使うスケール、メジャーと呼ぶスチール製の巻尺などは、片側がメートル、片側が尺寸で表示されています。


この写真は丁度10寸=1尺が30.3ミリを示しています。


木の家散歩


この換算で、近代化による工業製品、建築建材が作られていれば悩む必要もないのですが、身近に見られる合板や屋根材、サッシなどのほとんどの建材は6尺=1820ミリ換算で作られています。


特に一般的な合板は長さが1820ミリ、幅は3尺に近い910ミリでできています。

長さで2ミリ、幅で1ミリの違いがあります。


大工は尺寸が基本です。


単に伝統的に使われてきたということや畳一枚が3尺×6尺の大きさに近いとかだけではなく、1尺=303ミリの6倍、または10倍、10分の一などで小数点以下の数字が希にしか出てこないことから、使うのに便利な体系だからです。


暗算で簡単に連想できることと、端数が生じにくいことなどが現在でも大工の木材加工の基本として使われていると思われます。


木組みの加工を尺寸で行うときに気をつけないといけないのは、先ほどの工業製品の製造寸法とのわずかなズレです。


例えば、床の下地板に張る構造用合板は910×1820ですから、8畳ほどの部屋で下にある構造材と4ミリほどずれます。


屋根は広いですから、端まで行くと910の幅一枚が20枚ぐらいは張りますから、20ミリはずれます。


当然ですがカットして調整しないといけないのでが、そうしないと構造強度が確保できません。


また、基礎工事に使う鋼板パネルはリサイクルができて良いのですが、パネルのサイズが910、1820ミリになります。


鉄を切るわけには行きませんから、基礎の寸法体系は910単位で、長い基礎ですと屋根同様に端で15ミリ近くずれてきます。


そのズレをなるべく少なくするために、スタートを中心から振り分けますが、それでも半分の6~8ミリはずれます。


そこで、前回にご説明しましたように、基礎の垂直な立上りの部分を幅150ミリにして

多少のずれでも構造上問題ないようにします。


最近のプレカットは910単位の寸法なのでよいのですが、大工の手加工の木組みの家は細かい配慮、管理が必要です。


そんなところにも耐震性の管理が設計段階から始まっています。


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