4)エアコンと環境破壊
エアコン取り付け業者にとっては今がかきいれ時とばかりに忙しく飛び回っています。
新設の場合よりも、機器の取替えの方が多いようです。
その場合注意しなければいけないのは、冷媒の扱いです。
古いエアコンの冷媒(HCFC22)は、現在のR410A(破壊係数0)などの代替フロンよりも一世代前のもので、オゾン層の破壊(破壊係数0.055)を招くことで、現在の機器では使用されていません。
エコポイントなどで効率性の高い新しいエアコンに更新することが呼びかけられていますが、その工事のときの冷媒の回収がとても重要です。
旧冷媒をきちんと回収、破壊しないで外気に放出してしまうことや、特に回収の手間を省いて早く工事を終わらせて、次の現場を予定に入れたりすることが安く工事をたくさん取ることにつながると考えら業者もいるようです。
エアコンがまだ動く場合は、屋外機のポンプで冷媒を回収(ポンプダウン)できますが、壊れて動かなかったり、動いても力が弱い場合などは、専用のフロン回収機で回収しなければなりません。
その機械をすべての業者が持っているというわけでもありません。
また、その場合のエアコンの配管を再利用する場合は窒素ガスを配管の中にブローイングして、配管のグリスなどに付着した以前のフロンガスを洗浄しないと、その後の使用中に機器に不良を起こす場合があります。
これは、その窒素ブロー洗浄の様子です。
天井に埋め込まれた天井カセットエアコンの配管を交換できないので配管を再利用することと、エアコンのポンプが弱いために別途機械でフロン回収を行う必要がある場合ですと、このような窒素ガスのボンベをホースで天井の配管に繋いで洗浄します。
屋外機のポンプがしっかりしていてポンプダウンができれば、最近のエアコンは配管の再利用できるものが多くなりましたので、機器だけの交換で対応できるようになってきました。
エコポイントが利用できるエアコンですと、家電リサイクル法によって正規に引き取りフロンガスを破壊してオゾン層の破壊を拡大させないように法整備が整っています。
業務用や天井カセットエアコン、壁埋め込みエアコンは、リサイクル法の対象外ですが、フロンガス破壊法により大気中に放出することは認められていません。
現場でも、コストや時間を省くために、シューっと音まで出して大気中に放出する現場もあるかもしれません。
発注者である住まい手の方も、見積の段階から業者に気軽に確認したり、仕事のポイントを見守るなど、環境への意識を現場レベルで高めていただけますと宜しいかと思います。
また、最近普及してし始めたエコキュートといわれる、大気熱吸収給湯器などの冷媒は自然冷媒のCO2が利用されています。
今のエアコンの新冷媒の代替フロンはオゾン層の破壊はゼロですが、地球温暖化係数(CO2を1としてその何倍の温暖化能力があるかを示した数値)が1300~1725とCO2よりも非常に高く、今後のリニューアル時にも同様の回収と破壊は求められます。
さて、天井カセットエアコンの工事ですが、冷媒管と機器の接続部分はしっかりと断熱しましょう。
ここの断熱がされていなかったり、断熱性の低い部材で工事した場合は、使い始めて真夏のフル稼働のときに天井にシミができたりしますので確認が重要です。
天井を見上げるように見た写真ですが、右側の二本の白い部分が断熱材を巻いた冷媒管の行きと戻りの配管です。
その左の黒い断熱されたホースが、冷房時に熱交換機に発生する結露水を排出すりドレーン管です。
ここのジョイントもしっかりしないと水漏れの原因となります。
エアコンから地球環境を考えると共に、なるべくエアコンに頼らない木の家を造る工夫を設計段階から考えていきましょう。
まずは、断熱からでしょうか。