1)木材の乾燥ーその1
木の家の木材の乾燥についてお問い合わせをいただきました。
ネットワークの木材産地の杉井さんの監修の下に、木材の乾燥について二回に渡ってお知らせいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
木材の乾燥について
木材の乾燥には、天然乾燥と人工乾燥の2種類があります。
天然乾燥は、製材品を桟積みし数か月以上天日干しします。
風の力も借ります。1年干しても含水率が50%を割ることはありません。
木材にも個体差があり含水率にもバラツキが生じます。
そこで、人工乾燥で調湿し、バランスを取り、修正挽き後に出荷いたします
丸太乾燥の種類ーー素材(丸太)
寒伐り(かんぎり):寒伐り(積雪期間の12月~2月)による樹の冬眠状態の含水率低下時の伐採
積雪地での寒伐りの丸太の積み込み
葉枯し(はがらし)伐採:葉枯らし乾燥(9月~11月)による頂部の葉からの蒸発散作用により含水率を低下させてから玉切りし、工場の土場で野積みし後に使用します。
樹上部の葉を残したまま倒したままにする
水乾燥:丸太を掘りに長期間入水させ水温と外気の温度差で材中水分のコントロールをする方法。
◎製材木材人工乾燥(製品)は、高温乾燥、中温乾燥、低温乾燥、薫煙乾燥の大きく四つに分かれます。
それらに使用される熱源は、重油、高周波、低周波、電気、ソーラー、木質系燃料などがあります。
乾燥室内の雰囲気調整は、除湿方式、蒸気方式、温風方式、高・低周波方式などがあります。
これらを組み合わせ、品質、コスト、納期を考慮して設計いたします。
・高温乾燥:100℃以上の高温の雰囲気で7日から15日以上長時間乾燥するため 、ヘミセルロース(RC構造の鉄筋を束ねる腹筋の役割)が変質し、次いで、木材の主成分であるセルロース(鉄筋の役割)が熱変化し、木材の強度が低下します。また、樹脂成分を木酢液に変化させ、後で溶出することがおきたり、材表面に割れが生じてきます。
・中温乾燥:70℃~100℃の温度雰囲気で、10日~20日以上の乾燥を要します。
・低温乾燥:70℃以下60℃前後の温度領域で乾燥する方法です。
乾燥のメカニズムはどの温度領域と乾燥方式の組み合わせで、どのくらいの日数を要して仕上げるかが要点となり、それらの条件の組み合わせにより低コストで高品質のもが出来上がります。
(つづく)