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21)鶴の恩返しのような表具師の木の家リフォーム

15年後の木の家リフォームは外壁や屋根だけの工事ではありません。

二階の階段ホールの個室化
室内の布クロスのロール和紙などへの張替え
木製サッシの戸車、玄関、勝手口ドアの交換
浴室の洗浄、造り付け家具の再塗装
洗面化粧台、トイレ手洗い器の交換、
ボイラー、レンジフードの交換
収納の使い勝手向上の改善

以上の他、細かい点検も含めて、様々にリフレッシュしました。

その中でも、お施主さんとのお付き合いも含めて工事期間が長かったのがクロス工事です。

家族が生活しながら、すべての部屋の壁、天井のクロスを張り替えますので、お施主さんの協力の必要ですが、なるべく生活スタイルを崩さないように配慮しつつ、全体の段取りを組み立てます。

段取り八分と言われますが、仕事の組み立てを構想することも、仕事の技の一つです。

特に、既存の家具を移動しながらの工事ですので、大人数の職人さんが一斉にしかかる訳にもいきません。

その様な工事では、どうしても仕事が粗くなってしまいます。


既存の壁紙を剥がして、目地や釘跡を再度パテ処理して、敗れたボードを処理しながら、丁寧に下地処理を行います。

目地処理のパテも、新築部分であれば3回工程となり、表面をペーパーでこすって平滑化します。

パテが乾く時間の違いを考慮して、別の場所の仕事をこなしていきます。

クロスや表具の仕事は手先の器用さが基本ですが、同時に根気が必要です。慌しく、バタバタとは仕事が出来ません。

真壁の木の柱や梁が見える木の家ですから、周りの木の部分に残った糊をスポンジで綺麗にふき取っていかなくてはなりません。

5年もすれば、その糊跡が茶色になって浮き出てきます。

安い単価を強要すれば、完了直後にさえ問題が無ければよい部分は自ずから抜かれます。

担当してもらった職人さんは表具師として、掛け軸などの表装も出来る腕を持った職人さんですが、いつも静かに、確実に、手際よく仕事をこなす風景は、鶴の恩返しの鶴のように思ってしまいます。