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(16)建築基準法満足でも地震に強い家にはならない

日本建築学会が独自に調査した結果、確認申請で建築基準法を満足しても、本当に地震に強い家ができないことが分かりました。

実は、二階建ての木造住宅の確認申請では、「4号建築物」の特例という特別の規定を利用して申請、許可されているものがほとんどです。

「4号建築物」とは、建築基準法第6条に規定されていることで、確認申請を受けなければならない建築物とその確認申請手続きにおける特例に関連することです。

この場合の特例とは、確認申請時に作成、提出する図面、計算などが省略できる=少なくてすむ特例です。

では、1、2、3号建築物とは何かですが。

1号では「特殊建築物で床面積の合計が百平方メートルを超えるもの」

2号では「木造の建築物で三階以上又は延べ面積が五百平方メートルを超えるもの」

3号では「木造以外の建築物で二階以上、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの」で

木造住宅で関係するものは、木造三階建て、又は500㎡以上の木造ということですから、木造三階建ての場合が該当するぐらいでしょうか。

そして、4号建築物とは、「1号から3号建築物以外の都市計画区域内の建築物」となります。

ほとんどが都市計画区域内ですから、事実上ほとんどの住宅では確認申請が必要ですが、実はこの4号建築物には先ほどの特例があります。

特例とは「認定を受けた工法や材料で建築された建築物=いわゆるメーカー住宅など」と「建築基準法6条4号建築物で、建築士の設計した建築物」については、確認申請の審査を簡略化して構わない、という規定です。

つまり、図面や構造計算を省略してよいとのことです。

この規定で、ほとんどのプレカット工法の住宅は、施主とビルダーや工務店の営業担当が打合せした間取り図に基づき、建築士が設計した形で確認申請、許可を受け、プレカットもCAD図面で構造の簡略チェックを行うだけで現場にプレカット木材が搬入される流れです。

            許容応力度構造計算書

先ほどの日本建築学会の調査は、関東地方の地域の工務店がプレカット工場に渡した4号建築物の図面から100件を無作為抽出して調査しました。

その図面に基づき、本来のビル建築と同じ構造計算である許容応力度計算を実施した結果、住宅が持っている地震や風力に耐え得る強さ=許容応力が、本来建築物として必要とされるべき設計応力を下回る「エラー」が全ての事例に発生していました。

この時の確認申請は特例によって簡略化されて申請されていましたが、構造的には「仕様規定」といいまして、筋交いや耐力壁がどこに、どの程度の数量が設けられているかや、バランスよく配置されているか、床が堅く作られているか(剛性が高い)などといったことを確認しているのみで、許容応力度構造計算によって、「性能規定」として計算されていないものです。

改めて、許容応力度構造計算により構造計算したところ、本来必要とされる構造性能が不足していたということでした。

やはり、木の家においても許容応力度構造計算を行わないと、本当の構造性能は分からないということであり、今この瞬間においても構造性能が不足する住宅が建てられていることの可能性が高くなりました。

多少の費用を掛けても、許容応力度構造計算を木の家の構造設計とともに行う必要性が高くなりました。