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54)ロール和紙は表具と同じ感覚で

ボードの下地処理をパテで行うことは昨日のブログでお話しました。

そのパテ処理ですが、実は最低2回、ロール和紙のように繊細なものを張るときは3回重ねることをします。

最初はパテの粒子が粗いもので大まかな不陸(ふりく)=凹凸を平滑にします。

その後は、粒子の細かいパテで仕上げます。

更に、場所によっては、まだ凹凸があるときには3回目のパテ処理を行います。

このような下地処理が終わって初めてロール和紙張りに入ります。

手で触ってもひっかるようなところがないのは、日本人の繊細な感覚によるところが大きいと思います。


壁は真壁の柱がありますので、90センチから大きくても180センチの巾ですから一人で張って行きますが、天井ともなると二人のほうが効率的です。

息の合った職人仲間の仕事は見ていても気持ちが良いです。

一人が押さえている間に、もう一人が張り込んでいき、張ったその場からヘラで押さえながらカットしていきます。


でんぷん糊が壁などに付かないように予め養生フィルムで養生して起きますが、細かいところはどうしてもついてしまうため、なるべく早めにスポンジでふき取っていきます。

手際よさが求められるため、繊細さと、俊敏さが肝心です。


二階はほぼ張り終わりました。

柱や梁の部分を除いて張って行くので、大壁の柱や梁が見えない造りの仕事よりも神経を使いますし、どんどん張っていくというわけには行きません。


ロフトのある個室も綺麗に張りあがりました。

ビニールクロスと違って、ロール和紙は紙ですので湿度の違いによって伸縮します。

天井のような大きい面を張るときは、重ね切りという和紙の継ぎ手を重ねてカットして、突きつけるように張ると、隙間が見える恐れがあります。

ロール和紙は巾が約1メートルありますので、約957センチほどにスリッターで巾をカットして、二センチほど重なるように張っていく重ね張り施工が標準です。

手すき和紙の小さな紙を張って作る昔の襖の作り方を基本にします。

重ねた部分が二重になるため、ラインが入ったように見えますが、それが和紙、紙壁紙であることを表してもいます。

ロール和紙のように機械漉きの壁紙でも、ビニールに比べて面倒だと嫌がるクロス屋さんが多いですが、表具の基本をわかっている職人さんなら問題なく張ってくれます。

日本の伝統的な襖や掛け軸の歴史を少しでも後世に繋いでいくためにも、ビニールではなく、せめてロール和紙で表具することをお勧めします。

ただし、汚れが付くと取りにくいことや、水で濡らすとシミになりやすいことなど、使い方に注意はいります。

反面、静電気が起きないため埃が付き難く、陽に焼けながら自然に色が落ち着き、劣化することが無く長持ちします。

張り替える必要が無く、重ね張りで済みますのでメンテンンス費用が安く済みます。

何よりも、自然素材で、湿気を履いたり吸ったりして、家全体の呼吸性を高めて快適な室内空間をつくり、湿度の多い日本の気候風土に適しています。

価格も特に高いわけではありませんので、張替えにもお試しください。

日本の表具を木の家に