48)「溝を突く」とはなんでしょう?
大工工事の中には様々な専門用語があります。
大工さんと私が現場で話していることを建築主さんがそばで聞いていても、何を言っているのかわからないということがしばしばあるようです。
室内の細かい木材加工の仕事になると尚更です。
「溝を突く(みぞをつく)」という言葉もその一つです。
これは鴨居や敷居の溝を突くところです。
引き戸や吊戸の上にある造作材(ぞうさくざい)が鴨居(かもい)、下にあるのが敷居(しきい)です。
鴨居に頭をぶつけるとか、敷居が高いといわれるように、上と下にある造作材です。
鴨居や敷居に引き戸などの建具(たてぐ)の動く溝を掘ることを「溝を突く」といいます。
溝を突く前に、「毛引き」という筋をつける道具で毛のような細い筋を木材につけます。
使っているのはこの道具です。
爪のような刃がついていて、台木との間の巾を変更できます。
裏から見ると二枚の刃が、間隔を調整できるようになっているのがわかります。
この巾が敷居や鴨居の溝の巾になり、加工するときのガイドラインになります。
よく見ていただくと、木目の曲線に対して、直線の毛引きの筋が刻まれているのがわかります。
そして、その溝にあわせて溝突きカッターという機械で溝を決まった深さで突いていきます。
鴨居は深く、敷居は浅く突きます。
機械のあとには溝ができていますね。
綺麗に一直線に溝が出来ました。
これが鴨居の深い溝です。
これが敷居の浅い溝です。
昔はノミで少しずつ突きながら作っていたので、溝を突くと言ったのでしょう。
昔の作り方がわかる言葉です