5)コウモリ対策工事
コウモリ対策工事を行いました。
横浜の周辺が緑に恵まれた開発暖地の一戸建て木造住宅の外壁にコウモリが寄り付いて、糞の被害があるので防ぐことができないかとのご相談でした。
そこで、以前に一緒に仕事をした防除会社に連絡して、コラボで対応することにしました。
現場に伺うと、外壁の下に糞が落ちています。
状況から判断すると、民家に住み着くアブラコウモリであることが推測されました。
外壁をリフォームしたときに、以前の外壁の上からサイディングを張ったのですが、その一番上の屋根の下面との入り隅部分に指が一本はいる隙間がありました。
どうやら、そこから入り込んで以前の外壁とサイディングの隙間=約3センチほどの部分を昼間の休み場所として生息していたようです。
普段の間隔からはこの隙間からはコウモリが入るとは思わないでしょうが、防除会社の方によると、指一本の隙間があれば十分に入るとのことでした。
工事対象箇所は屋根周り全体に及ぶため、足場を架けて隙間を密閉するとともに、、樹脂製の通気用の部材の丸い穴も金物で塞ぐこととしました。
足場を架けることもあるため、雨樋の劣化部分が確認されたため、あわせて塗装工事を行うことや外部の照明器具の交換を行うこととなりました。
工事後に防除会社の方と確認して、さらに細部の指摘部分の工事をして問題なく完了しました。
工事は特注の金具を製作し、技能の高い職人が行わないと後で問題が再発しかねませんので、普段の工事より慎重に行われました。
日本のコウモリは山間部を中心に数種類生息していますが、鳥獣保護法の対象で、むやみに捕獲したり、飼ったりできません。
実は、アブラコウモリのように人家に生息するコウモリはイエコウモリとも呼ばれ、コウモリの棲む家は福が棲む家といわれていたそうです。
アブラコウモリは水田の上空に飛ぶ害虫を夜間、一時間に160匹捕獲したと言う記録があり、まさに農家にとっては益獣で、その糞も肥料に使われていたこともあります。
コウモリはまさに農家の「福」な訳です。
実際に、夜の街灯の周りを飛ぶ虫をコウモリが捕食しているのが確認され、都市化された環境にも適合しているのかも知れません。
長野県ではコウモリがレッドデータブックに載る絶滅危惧種になっている種類もあり、保護の対象でもあります。
保護のためのバッドウォッチングやバッドハウスも造られています。
人間と自然との「棲む」と言うことの原点が見え、考えさせられる仕事でした。
人と動物との共棲を可能に