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4)腐れ・シロアリに強い木の家ーその2

4)地面から1メートル以内の外壁下地木材等の防腐防蟻処理

 

土台と一体となって、地盤面から1メートルの外壁部分に使われる柱より一回り小さな間柱(まばしら)と呼ばれる小さな柱のような下地木材はスギ、ヒノキとします。

 

外壁にノンホルム構造用合板合板を使う場合は、間柱と同様に両面、木口ともに、JIS規格による性能評価実験などを得たホウ酸系防腐防蟻剤を塗布することで、薬剤系の防腐防蟻剤を使わなくても適切な性能を得ることが可能です。

 

ホウ酸系の防腐防蟻剤はアメリカなどでは多くの実績、評価がされております。有機系シロアリ防除剤に比べて効果が永続的で、薬害によるシックハウス症候群の危険もほとんど無く、自然界への影響も少ないと考えられます。

 

JIS規格による実験においても実証性が確認されており、より自然に近いシロアリ防除対策として期待されています。

 

 

5)外壁通気工法と水切り

 

室内の水蒸気は、外壁の内側に防湿層を設けても、わずかな隙間から外壁側に放出されることで結露が発生します。

 

この結露を、現象として絶対起こさないことは、人間の現場施工の精度から、ほとんど不可能と考えられています。

 

外壁の内部に発生した結露が木の家を内部から腐らせていくことは、20年以上前の北海道の断熱住宅で起きた住宅の内部結露問題で社会的にも大きく取り上げられました。

 

そうした外壁の内部腐朽は本州以南ではシロアリ被害につながりますし、北海道でも温暖化の進展でシロアリ被害が顕在化してくる可能性も高まります。

 

そこで、わずかであっても結露の発生を前提に、結露水または水蒸気を外部に排出する工夫が必要です。

 

そのために、外壁通気工法を採用します。

 

サイディングではごく当たり前のなっていますが、左官壁においても求められていますので採用していきます。

 

また、外壁の土台の下には、雨の水が土台の下側に回りこまないように水切りをきちんと施工します。

 

 

6)浴室・脱衣室の防水

 

木の家の中でも、外壁の地面に近い部分と同じくらいに水の影響を受けやすいのが浴室と脱衣室です。

 

浴室は特にシャワーを使うようになってから、圧力のある水が一定時間連続的に床に近い部分に滞留しますので、防水措置が重要です。

 

また、脱衣室も浴室に隣接する部分であり、出入り口周りが水、水蒸気のの影響を受けやすいことも弱点になります。

 

そこで浴室、脱衣室の土台、柱、壁、床、天井の構造木材、下地木材の仕様はこれまでの3)、4)によるものとし、合板と下地木材はホウ酸系防腐防蟻剤を塗布します。

 

その上で、浴室を在来工法による造り付け浴室とする場合は、床下地は全面コンクリート打ちとし、タイルや無垢の仕上げ板の下には接着型防水シートを貼り、下地の段階で防水性を確保することとします。

床、床から腰の高さまでの壁=腰壁はタイルや天然石などを、防水性を確保した目地材によって貼ります。

腰壁から上の壁はタイルや無垢の仕上げ板、天井は仕上げ板や浴室用天井建材などで仕上げます。

 

脱衣室の床板の下地合板などにもホウ酸系防腐防蟻剤を塗布します。

 

 

7)小屋裏の換気

 

屋根からの雨漏りの原因は必ずしも屋根材ともいえないことがあります。

 

水平に天井を張った場合は、屋根と天井の間に密閉された空間が出来ますが、それを小屋裏と呼びます。

 

小屋裏には暖かい空気が侵入し易く、屋根の近くで冬場などの外気の冷たさで冷やされて水蒸気が結露して湿気となり、屋根の下地木材を腐らせることがあります。

 

それにより、屋根の構造耐力が低下し、屋根葺き材の隙間から雨が漏れた例があります。

 

その時には、小屋裏の中が腐朽菌(ふきゅうきん)で真っ白に覆われていたとのことです。

 

断熱材が天井の上に布団を敷いたように雑然と置かれていたことも原因の一つですが、やはり小屋裏の空気が入れ替わるような換気が必要です。

 

三角形の屋根(切妻屋根)の側面の壁や庇の下面(軒天井)などから、天井面積の

250~900分の1の面積の換気口で、給、排気を行うこととします。

 

こうした7つの防腐、防蟻の設計、施工を標準的な仕様とすることで、長期優良住宅同等の長持ちする木の家に取り組んでいます。