15)ハイブリッド加工方式の上棟工事ー1
北浦和の家の基礎強度の確認が取れましたので上棟工事に着手しました。
北浦和の家は無垢の杉、ヒノキの木組みです。
杉は山形県金山杉、ヒノキは埼玉県西川材です。
これまでの金山町の金山匠大工の加工による金山匠方式に代わって、埼玉県飯能市の加工場で加工した木組みを上棟から仕上げまで一貫して飯能の大工が仕上げます。
木の家の規模が小さくなると金山町からの移動や宿泊などの経費が掛かるため、関東地域で加工して搬送します。
木組みの加工は木の家の基本です。
これまでの木の家づくりネットワーク/フィールドネット一級建築士事務所によるセルフレーム構造=CFSシステムによる木組みの加工を更に合理化した「ハイブリッド加工方式」を採用しました。
木の家づくりネットワーク発足当初に加工工場と共同で検討してきた加工方式ですが、このたびCFSシステムによって更に進化させた加工方式です。
伝統的木組みの組み手のよさを活かしつつ、精度の高い機械加工を利用して、許容応力度構造計算にも対応した強度と合理化によるコストダウンを図りました。
集成材のプレカットのように木材がラインを流れて加工される方式ではなく、木を一本、一本見ながら加工する手刻みのよさを活かし、組み手(仕口、継ぎ手)部分の加工にデータ入力による自動加工を採用した伝統と現代技術の両方の良さを生かした「ハイブリッド加工方式」です。
北浦和の家の敷地は通路から奥に広がる旗竿敷地(はたさおしきち)のため、レッカー車が使えるかどうか微妙でしたが、なんとか入りました。
お隣の方の敷地の一部をお借りしたことでレッカー車が使えました。
本当にお世話になりました。
加工精度も高く、仕事も順調に進みました。
12センチ角(4寸角)の柱に大きな梁が組みあがります。
ヒノキの土台に隅の通し柱が固定されるところは、グランドワークス社の4トンもの力に耐えうるホールダウン金具が柱と土台に内蔵されます。
4本のドリフトピンという防錆処理された12ミリの直径の棒で、柱が地震時に抜けるのをがっちりと押さえます。
柱に小さな穴が横方向に開いているのがわかります。
重要な通柱の脇の土台は、タイトニックという木痩せに対応して、地震時の振動などできつく締めこむことができる特殊なナットで締め付けられています。
土台のジョイント部分=継ぎ手は腰掛鎌継ぎという継ぎ手でしっかりと繋がれています。
土台と基礎の間は栗のパッキンで隙間を空けて、通風性を高め、シロアリや腐れから土台を守ります。
土台を基礎に留めつけるアンカーボルトが柱の左と右端にありますが、その間隔は1M以下で、しっかりと土台を固定しています。
堅牢な基礎と骨太な国産材の無垢の木組みです。
資産となる木の家の裸の姿です