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47)大工の基本は砥石研ぎ

本物の、良い木の家を作る大工は道具を大切に使います。

今では電動ドライバーだけで組み立て大工工事ができる時代になりましたが、木の家を手造りする大工の基本は刃物の砥石(といし)です。

大工道具のといえば金槌(かなづち)ーゲンノウとも言いますがーの他に、鉋(かんな)鑿(のみ)の三つが代表的ですね。

そのカンナとノミの刃を研ぐのが砥石です。

砥石は本来は天然の砂岩や堆積岩を使いますが、価格が高く、なかなか使い切れないということや、人工砥石の品質が良くなってきたため、さほど違いがないことから、今ではほとんどが人工砥石です。

砥石も刃物を研いでいく順番で、最初に使う「荒砥(あらと)」、二番目に使う「中砥(なかと)」、最後に仕上げに使う「仕上げ砥」の三種類を使い分けます。

砥石も使っていくと、刃物を当てる部分のみがへこんでいきます。

そこで、砥石を研がなくては、綺麗に刃物を研げません。


三種類の色の違う砥石を平滑に磨きます。

右下の小さなボトルに入った鉄粉をかけて、砥石の磨き石で窪んだところを平らにするように研ぎだします。

さらに、平滑にした砥石と砥石を摺り合わせるようにして、全体に平滑に仕上げます。

石と石が吸い付くように、満遍なく摺り合わせます。

更に、この工業ダイヤモンドが菱形の網目の様に組み込まれた仕上げ用磨き石で仕上げます。

上面だけでなく、角も面を撮って、怪我をしないように仕上げます。

この砥石で、カンナやノミの刃を研ぐことで、緻密な加工ができます。

木組みを加工するのも、細かい造作材(ぞうさくざい)という内装の仕上げ木材を加工するにも、この砥石磨きから始まります。

刃物研ぎができない大工は大工ではないといいますが、砥石研ぎができないと刃物も研げません。

昔の大工の弟子の仕事は刃物研ぎを覚えて、朝や昼休みに親方の刃物も研ぐことができないと、加工をやらせて貰えなかったようです。


木の家は砥石研ぎから