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2)国宝・正福寺千体地蔵堂

正福寺・千体地蔵堂は東村山市にある
都内唯一の国宝寺院建築です。

八国山の木の家の敷地調査の一貫で
周辺環境、文化のフィールドサーベイの折に見学しました。

のどかな農地が残る住宅地の周辺地域にあり
八個山の近くです。

正福寺は墓地も含めると大きな寺院で、千体地蔵堂は
山門をくぐった正面にあります。


綺麗なプロポーションです。

ここからは身も心も俗世をぬぐって境内に入ります。

門の屋根の側面ですが、見事な板金の技で
曲線が表現されています。

金属をここまで柔らかく加工するのは大変です。

以前は茅葺だったと思われますが板金も見応えあります。

山門から正面に千体地蔵堂を見ます。

反り返った屋根の形が見事です。
中国から伝わった禅宗様式です。

どこかで見たことがあると思ったら
鎌倉の円覚寺の舎利殿を一回り小さくした形でした。

屋根の下の裳階(もこし)という庇が四周に周り
屋根の反りと対照的に、水平性を感じさせます。

舎利殿よりも巾が小さいため、上に伸びたような印象ですが
それでも堂々とした佇まいです。

両端にある花頭窓裳綺麗です。

格子のパターンも無理が無く、存在感があります。


上にある波型欄間も加工が見事です。
両側の柱と上の梁、下の鴨居の間にきちんと
組み込まれています。


横から見ると入母屋屋根の形が良く分かります。
屋根は板を重ねるように葺いた杮葺き(こけらぶき)です。

このような国宝寺院建築が残っている東村山ですが
建立が1407年ということで
北条時宗の建立とされています。

鎌倉街道筋つながりの鎌倉禅宗建築文化を継承する
貴重な遺産です。

今度は内部を拝観できるときに来てみたいです。
すばらしい木組みと仏像が見られますね。

このような木の建築文化に触れた感覚を
八国山の木の家で少しでも表現できると
クライアントも喜んでくれるに違いありません。