44)職人技が光る無垢の板張り-2
丸太大黒通し柱まで厚さ3センチの杉のあぜくら板が綺麗に張りあがりました。
大まかに斜めにカットした板を柱に食い込ませて、その形をコンパスで板に写し取っていきます。
丸太柱側はピン様に先が細い鉄の棒で、板側は鉛筆をはさめるようになっている手作りのコンパスです。
15年前の茶室の仕事をしたときから引き続き使っている年代モノです。
反対側と同様に丸鋸とノミで形を整えてはめ込んでいきます。
大きな板で叩きながら組み合わせていきます。
凹凸型に加工された厚さ3センチ、幅18センチのあぜくら板はしっかりと叩かないと組み合わさりません。
綺麗に丸太通し柱に組み込まれました。
板の上に置いてあるのが、左がさしげね、右が先ほどのコンパスです。
棟梁自身の手作りで、右側に鉛筆を挟めるようになっています。
いつも大工が耳に挟んでいるあの鉛筆です。
下から見るとこのように見えます。
板の下面がそのまま天井になります。
ちなみに、板の直ぐ下の柱の面に見える四角く掘り込んだ穴は、丸太通し柱と奥側の梁を留め付けている内臓ボルトです。
最後に木の飾り埋め木で見えなくなります。
あぜくら板が張られた後に、上から釘で下の梁に留め付けられます。
釘を打つところに墨壷(すみつぼ)で墨を付けていきます。
右手で墨の付いた糸を持ち上げて、離すとしたの板に墨が付くのです。
右側に墨の線が見えます。
打ち込む釘は長さが9センチある太い釘です。
手で打っていてはとても大変で、手首や肩を壊してしまいますので、「鉄砲」と呼ぶ釘打ち機で打ち込んでいきます。
コンプレッサーのホースをつないで空気圧で打ち込みます。
釘の間隔は6センチですので、釘の数もたくさんになります。
下を向いて、圧力に負けないように押さえ込みながら打ち込みますので、一列打ち込むと棟梁の顔も紅潮し、額に汗がにじみます。
綺麗に板が張り終え、釘が打ち込まれて、構造計算どおりに剛性の高い無垢の床板下地ができました。
良い設計監理をベースに、良い材料を吟味し、腕の良い職人が、適正な価格で、心をこめて造る。
そんな、当たり前のことが、今の木の家づくりでは少なくなりました。
職人が造る木の家を応援宜しくお願いします