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43)職人技が光る無垢の板張りー1

防水工事、中間検査が終わると、本格的な内部の大工工事=木(もく)工事が始まります。

 
木の家の本領発揮の工事です。
 
まずは、二階の無垢の杉のあぜくら床板を張り込みます。
 
現場に施主さん縁の富士山に近い天竜杉の厚板が納品されました。
 

 

厚さ3センチ、幅が18センチもありますので存在感が違います。

 

 

右側が表側で、左側が裏側です。

表側は杉特有の木の中心の赤身と木の外周部の白太が綺麗に現れています。

 

 

裏側は反り(ソリ)止めの溝が三本ついています。

 

無垢の木の板の物理特性で、木の表側が凹面のように反ることがあります。

 

それを、木の裏側の繊維を切り込んで、なるべく反りが起きないようにしています。

 

 

良い天竜杉は以下の特徴があります。

 

1、年輪が細かい=年輪と年輪の間隔が狭く、ゆっくり成長した杉

構造強度が高く、木目が美しく、床材など堅さが必要な製品も可能

 

2、木の中心の赤身が鮮やかで、外周部の白太とのコントラストが綺麗

柱や梁の木組みや板の色が美しい

 

3、年輪の間隔が均等で、同心円を描く

強度にムラがなく、木目の造形が細かく、美しい

 

4、赤身から出る油分が多い

腐れ難く、虫害に強く、粘りがある

 

5、樹齢70年~90年以上の木が多い

成長木のため、木材としての安定性があり、大きな製品が採れる

 

と言うことで

 

床にも使える、美しい、粘りのあるあぜくら床板にちょうど良いです。

 

 

 

さて、二階の床は窓側の端から張り始めます。

家の中央の丸太大黒柱まで張り進んで来ました。

 

 

まずは、床板を丸太柱に差し込むために、丸太大黒柱に鉛筆で墨付けをします。

木の定規で、丸いので回しながら墨付けをします。

 

 

日本の鉛筆の線が丸太にうっすらと描かれていますね

 

 

この線に沿って鋸で切り込んで、ノミで掻き取っていきます。

 

 

横にならないと水平に鋸を入れられないので、当然ですが寝ながらですね

 

 

鋸の目に沿って、ノミで板の厚みを掻き取っていきます。

 

「五年分掻き取ったかな」と河村棟梁も楽しげです。

 

 

掻き取った丸みを、手前に置いてあるさしがねを使って大まかな丸太の大きさを計り取り、丸鋸を手鋸のように鮮やかに使いこなして、板を粗加工します。

 

 

ノミで細かく加工します。

 

刃先が丸くなった丸ノミを使うこともあります。

 

 

 

さらに細かく加工するために金槌(かなづち)を使わずに、ノミをアゴに当てて上半身の力で押しながら丸く加工していきます。

 

普通の人なら、首がおかしくなってしまいますね

 

 

 

何回かあてがいながら、丸太の掻き込みの形に合わせて加工を重ねます。

 

 

綺麗に取りつけられました。

 

 

一階の天井に表側が見えますので、二階の床側は反り止めの溝が見える裏側が見えることになります。

 

この上から床下地木材を留めて、仕上げに桜の無垢のフローリングを張るので上面は見えませんが、見えないところにも気を抜かないのが職人魂です。

 

 

次回は反対側の取り付けをご案内します。

 

見えないところこそ綺麗に造る