19)基礎はお暑いのが嫌いです
良い木の家は地盤と基礎からですね
良い地盤を造るには、スウェーデンサウンディングと表面波探査による地盤調査が基本です。
そのデータ解析に基づいて分析された結果により、必要に応じて地盤改良や杭などの地業工事が必要です。
調布の家では表層地盤改良を行いました。
基礎工事は
ミルシートによって品質の確認された鉄筋を使います。
コンクリートは、水セメント比を50%以下、スランプが18以下、強度が24ニュートン以上の配合にします。
基礎の形状はベタ基礎で、底盤と立ち上がりを一回のコンクリートで打ち込む=一体打ちコンクリート基礎です。
そして、もう一つ大事なことがあります。
それは基礎コンクリートを打ち込んだ後の「養生」(ようじょう)です。
体を壊した後に「ゆっくり養生してください」という時のあの「養生」です。
コンクリートを打ち終わった後に、「早く乾くと良いですね」とたまに言われます。
しかし、コンクリートが早めに乾いてしまうと良くないのです。
コンクリートは「水和反応」といいまして、水とセメント成分と反応してセメント粒子の周りに結晶をたくさん造り、その結晶同士がお互いに隙間を埋めるようにつながることで固まります。
土だんごが乾燥して固まるのとは違うのです。
因みに、コンクリートはセメントと砂利、砂、水が混ざった物です。
セメントは日本にたくさんある石灰石と粘度を約1450度で焼いて、石膏を加えて細かく砕いた物です。
水を加えると、もとの石に戻ろうとして化学反応=水和反応によって固くなります。
これを「水硬生」(すいこうせい)といいます。
漆喰は空気中の二酸化炭素と反応して固まるので「気硬性」といいます。
だいぶ、脱線しました
このところの残暑は厳しかったですね。
そうです、この暑さがコンクリートにとっても堪えるのです。
コンクリートの中の水が蒸発してしまうと、反応が出来なくて、強度が発現しないこともあるのです。
そこで、養生です。
暑いときは子供と同じで水遊びしたいですが、コンクリートにも水を与えなくてはなりません。
「水養生」です。
コンクリートを打ち終わって、基礎天という土台が乗るところの下の部分を水平にするために、セメントと水を混ぜた「レベラー」を流し込むと、基礎もホット一息します。
レベラーは水分が多いので、コンクリートの水の蒸発を防いでくれます。
しかし、底盤という下の水平部分はそのままだと水が蒸発しやすいので、水を流します。
そう言うと、コンクリートが水で薄められるのではと心配される方もいるかもしれませんが、打ち終わって3時間もするとだいぶ固くなりますので、水ぐらいではびくともしません。
こうすれば、水分が蒸発しないで、ゆっくり水和反応しながら強度がきちんと出ます。
このように型枠を外した後も、天気によっては散水します。
手前右下から水を流し込んでいます。
立ち上がりにも水を撒きます。
のどが渇いていたように、良く吸い込みます。
ベタ基礎は水を溜められるのが、水養生にはちょうどいいです。
普通の布基礎ではこうは行きません。
一番強いコンクリートは、水中で養生する水中コンクリートなんです。
本当に、コンクリートはお暑いのが嫌いです