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18)壁量計算と構造計算は違います

構造設計は、地盤調査に基づく地盤の補強から
基礎の形や基礎に埋め込まれる鉄筋の設計
どのように木を組むかという木組みの設計
そして、地震や台風などの水平方向の力に対抗する
耐力壁の配置と内容の設計
地震時に持ち上がろうとする力に対する引き抜きの検討
など、様々に検討されます。

そのなかでも、耐力壁の設計は筋交いを入れる
入れないなど、皆様もよく聞いた事があると思います。

耐震性が高いか、低いかを判断するためには
先程の構造設計のすべての内容と構造計算によって
確認するのが本来の考え方です。

しかし、それをすべての住宅で義務付けるのは
現実的ではないということで
耐力壁の量が基準以上であることを法令で定めています。

それを「壁量計算」といいます。

住宅の床面積、外壁の面積を求めて
その数値を代入して、座標で言うところのX軸、Y軸の
2方向それぞれで、必要となる壁の量(長さ)と
設計で存在している壁の量の比較をして
必要量を存在量が大きいことでOKとします。

これが外壁の面積を計算している図面です。
上が2階、下が1階の外壁面積で
東西面、南北面の大きいほうを計算しています。

設計により存在している壁の強さと長さを
図面で確認して、集計します。

最終的に、フォーマットに数値を代入して
問題が無いかをチェックしてOKマークが出ます。

これ以外にも、耐力壁の偏り(偏在)が無いかを
確認したりしますが、基本的にはこの内容です。

壁量が建築基準法で定める量の1.25倍あれば
長期優良住宅の2等級、1.5倍以上あれば3等級
というように、耐震性の基準として扱われています。

しかし、これで十分とはいえないのが実態です。

実際に、まず最初にこの簡略な壁量計算を行った後
許容応力度構造計算を行うと、少し違った結果になります。

許容応力度構造計算は、基礎から屋根までの
構造部材の大きさ、耐力壁の量と位置、引き抜き耐力など
総合的に計算して、構造安全性を証明するものです。
まとまると1冊の本にもなります。

その構造計算の結果によって、再度耐力壁の強さを
再検討することが必要になるケースが多いです。

構造計算の費用が必要ですが、何十年も維持される
耐震性を確保する費用としては決して高くはありません。