7)現代の欄間(らんま)
欄間(らんま)は日本の伝統的な和風建築の書院づくりや数寄屋づくりによくみられるデザインパーツです。
引き戸の上と天井の間の部分で、そこに透かし彫りの彫刻をはめ込んだり、障子をはめ込んだりして意匠を凝らしました。
現代では富山県砺波地方の欄間彫刻士が伝統を引き継いで残そうとしていますが、なかなか一般の木の家では見られませんね。
木の家づくりネットワーク/フィールドネット一級建築士事務所の事例の中でもやはり和風の家の和室にいくつか見られます。
これは、能見台の家 の事例です。
旧宅で使っていた欄間を外して、洗いをかけてきれいにして和室に飾ったものです。
廊下との間の両面欄間で立派なものです。
因みに、床柱も旧宅で使っていたものを再利用しており、仏壇スペースも造り込まれています。
これは睦沢の家 の和室が二部屋続いた続き間和室の間の欄間を幾何学的にデザインしたものです。
骨太な木組みの家に合わせて、組子が一回り太めです。
この事例の場合も、床の間、違い棚、造り付け仏壇などのある南側の和室と北側の寝室和室の間の欄間です。
これは、千葉県旭市の木の家ですが、奥の吹き抜けのある茶の間和室と仏壇のある仏間和室の境の欄間と、縁側の境の欄間です。
いずれも、障子で開閉ができます。
これは見沼の家 の和室とひろまの間の丸い木の板を楕円上のくり抜きに入れ込んだ、瞳のような欄間です。
襖を組み込んで、閉めた時には壁と同じように見えることになります。
右側の玄関土間との間の障子は腰板つきの雪見障子で、欄間は障子です。
夏場と冬場での開閉可能な仕組みです。
窓から取り込んだ風を天井面からスル―する日本人の工夫は、夏をなんとかして過ごしやすくしようという機能とデザイン、匠の技の賜です。
モダン住宅でも現代欄間は効果ありです