4)屋根換気
屋根の一番高い部分を「棟」(むね)と呼びますが、その棟につけられた換気用の装置が「換気棟」です。
暖かい湿気を含んだ空気は上昇する性質がありますが、木の家の一番高い部分の屋根は家全体の暖かい空気が集まりやすいところです。
その暖かい空気が逃げ場を求めて隙間から屋根裏や屋根断熱材の中に入り込み、特に冬季に結露することから木材の腐食を誘発します。
断熱材を厚くしたり、断熱材の調湿性能を高いものにすることや内側に防湿フィルムなどを張ることでなるべく結露を防ぐ工夫を施しますが、ミクロの水蒸気や空気の移動をゼロにすることはできません。
そこで、緩やかに屋根裏や屋根の内部の空気を外に出すのが棟換気の役割です。
屋根断熱材の内側に防湿性の高い防湿フィルムや素材を張り、断熱材の外側に空気の通気のための通気層を設け、その一番上の棟に換気棟を取り付けます。
ちょうど屋根板金屋さんが棟に換気棟を取り付けているところです。
樹脂製の細いストローが束になったような厚みのある板を棟の両側につけて、その上から無垢の木を貼り、ルーフィングを葺いてから板金のカバー=役物という手作り加工板金をかぶせます。
無垢の木の板の下の部分に換気装置が取り付けられ、その隙間から屋根の通気層の空気が排出されます。
ストローのパイプの穴が小さいため、雨が横殴りに吹き付けても中に入らない仕組みです。
瓦葺でも同様な換気棟が販売されています。
雨漏りに気をつけながら、木の家の耐久性を高める重要な部分で、屋根板金職人の技能が求められるところです。
木のいえづくりネットワークでは、「呼吸する木組み」として床下、外壁、屋根の通気工法を推奨しています。