8)金山杉ばっこん板のテーブル
金山杉の抜根板のテーブルを納品しました。
木の家具のテーマの前号で産地の金山町で出荷前の製材したて=挽きたての板の状況をお知らせしました。→ばっこん板
その後もクライアントとのメールでの打ち合わせを重ねていきました。
特に椅子の高さとの関係でした。
椅子の座面の高さは座る人の座高の高さや使い方=座り方に関係して微妙な検討が必要です。
今回もいくつかご紹介した椅子の候補に実際にショールームや店舗で椅子に座ってみて、座り心地や座面の柔らかさなどを確認して、どの椅子を購入するかを決めてから椅子の高さを決めて一脚だけ購入して自宅で確認されました。
その上で、他の家族の場合を検討して、都合三脚購入しました。
一脚は肘掛のある椅子です。
天板が薄いことと椅子の高さをやや低くしたため、肘掛の椅子がテーブルの下に収納することができます。
お子様は今後の成長もあるので、子供用の座面高さを変えられる椅子を当分使うことになりました。
今回のばっこん板は板の厚みが挽きたてで45ミリ、仕上がりで42ミリとなります。
設計上では天板の厚さがやや薄いことと、材料が杉であることから、天板が軽いことがありました。
天板が軽いのは移動しやすいことや扱いやすいことのメリットはありますが、一方でテーブルの脚の上に置くだけではずれる可能性もあります。
そこで、脚と天板を固定する必要がありました。
一般的にはテーブルと脚は固定しますが、将来の引越しも予想されたため、外せる事が求められました。
専門職が来て外すのでは費用もかかりますので、住まい手が自身で分解組み立てができることが必要です。
その場合でも工業的な一般的な家具は六角ボルトなどで締め付けますが、無垢の一枚板は使っているうちに微妙に動く=変形する可能性があります。
その場合、六角ボルトが外せなくなったり、外せても再取り付けができなくなることがあります。
そこで、今回は日本の伝統的木の家の木組みの作り方を木の家具にも応用しました。
それは「ホゾ指し」と「鼻栓」(はなせん)、「楔」(くさび)、「蟻」(あり)の組み合わせです。
ホゾ指しは片方は穴を開けて、もう片方はその穴に入る棒状のホゾを作って、差し込んでから飛び出した棒に穴を開けて、その穴に小さな棒を差し込んで抜けないようにすることです。
その鼻栓は、形を楔状にすることで木槌で叩くと締まっていきます。
また、天板と脚を固定するのにも蟻という斜めに加工したホゾと楔で固定して、組み立てと分解ができるようにしました。
納入時に実際に組み立てを行い、クライアントの家族で組み立てと分解をやってみてもらいました。
デジカメで工程写真を記録して後ほどメールする予定です。
実際には上下逆さまにして組み立てて、反対に起こします。
小さいお子さまも一緒に参加しました
塗装は米糠油で自然な仕上がりです。
お手入れの仕方や汚れたときの再生の仕方をご説明して、雑談後に失礼しました。
二代、三代と受け継がれることでしょう。