1)赤身はシロアリも食わない
地球温暖化が進んで海水温が上昇しているようですが、木の家の大敵・シロアリの被害も少しずつ増えているようです。
シロアリは蟻と名前がついていますが、蟻の仲間ではアリません(^▽^;)
生物学的な詳細は改めますが、白いアリのように見えますが、体はアリのように三つにくびれておらず、頭から下は寸胴な白い腹部のみです。土の中を移動したり、木を食べるときには、アリのように起伏にとんだ地面や植物の上を歩きやすいくびれは必要ないのかもしれません。
日本にはヤマトシロアリ、イエシロアリの二種類が木材に食害を与える代表的なシロアリです。近年、アメリカカンザイシロアリという乾いた木材でも食べ、高い位置の木材でも飛来して取り付く厄介な外来シロアリの被害が報告され、メディアでも取り上げられました。
木の家の土台や床下の木、柱や屋根組の木材まで食害が見られます。
伝統的な住宅では、風呂やトイレなどは家の外に設けて、被害が出たら建替えやすくすることとしていましたが、水周りが内部化されてからはシロアリのウィークポイントになりました。
特に湿度が高く、雨や水周りの漏水などに影響を受けやすい土台は被害が大きいです。
そこで、土台や地面から1メートルの木材は、シロアリに強い木を使うことや、薬剤を注入した木材を使ったり、木の表面に防蟻剤を塗布したりなどの対策を行うことが勧められています。
ただし、やたらと有機系薬剤(農薬に近いもの)を使うことでシックハウス症候群になってしまったり、薬剤の薬効期限を過ぎるとまた高い費用により再処理したりすることになり、木材に注入した防蟻剤が木の家の最終処分時に環境被害などの課題を残したり、根本的な、環境に負荷を与えない対策にはなりません。
そこで、有機系薬剤に頼らない、シロアリに強い木の家の足元周りにすることが必要です。
その一つが、土台などの足元周りの木材をシロアリに強い国産材にすることです。
それは、栗、青森ヒバ、ヒノキなどの国産材を使うことが推奨されています。
実は、杉の赤身(木の中心部の赤い部分)のみを土台に使うと、シロアリにはとても効果があります。
以前から、銚子など千葉県の太平洋岸のシロアリの被害が多い地域でも、杉の赤身だけは食害にあわなかったと伝えられていましたが、最近の実際の被害でも確かめられました。
この写真はリフォーム工事でのシロアリの被害にあった杉の柱です。
杉の外周部の白太はすべて食害にあいましたが、中心の赤身や枝の部分は残っています。
枝も赤い色をしているのはお分かりかと思います。
実は、ヒノキはシロアリや腐れに強いといわれていますが、杉と同様に白太は環境次第で食害にあいます。
特に、ヒノキは赤身と白太の違いが分かりにくいこともあり、盲目的に安易に使うと食害にあう危険があります。
木の家づくりネットワークの土台は、東北産の栗、杉の赤身、青森ヒバを基本仕様として、まずはシロアリや腐れに強い基本的な木の力を活かした木の家にしています。