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3)表面波探査の原理

表面波探査の現場の様子は前回ご覧いただきましたが、どうしてそれで地盤の地耐力が求められるのか不思議ですね。

 

そこで、その原理を簡単にご説明します。

 

はじめに、地震波の性質は概ね実体波と表面波の大きく二つに分けられます。

 

実体波は震源から周辺に伝わる波の進行方向に対して平行(同じ方向)な縦波(P波)と波の進行方向に対して、垂直な横波(S波)があります。

 

縦波(P波)は地震発生時に一番早く到達し、その次に横波(S波)が伝わります。

たまに地震があると、遠くの大きい地震のときに感じますね。

 

二つ目が表面波(レイリー波)で、水面に立つさざ波に似た動きをする波です。

上下動と水平動からなり、地表が上下方向に楕円を描くように振動し、実体波に比べて進行は遅いです。

 

この表面波は硬い地質ほど速く、柔らかい地質ほど遅く伝わる性質があります。

 

表面波探査はこの表面波の性質を利用して地盤の表面波の伝わる速度構造を測定して地盤の支持力(KN/㎡)を求めます。

 

お釜のような起震機から地盤を上下に震動させて表面波を発生させ、二つの検出機に到達する時間差を測定して、二つの検出機の間を伝わる表面波の速度を計算します。

 

木の家散歩

また、表面波は周波数(振動数)によって伝わる深さが異なります。

 

高い周波数の表面波は浅い部分を、低い周波数の表面波は深い部分まで伝わります。

 

コンピューターによって起震機の周波数を細かく変化させることで深さ毎に細かくデータを収集します。

 

現場でブーンという高い音から低い音へ変化しながら聞こえた振動の音がその正体だったわけです!!

 

木の家散歩

 

こうして得られた深さごとの表面波速度データを、国交省の告示に準じて計算して地盤支持力を求めています。

 

表面波探査のメリットは、5点の調査ポイントのデータがローコストに取れるため地盤譲許がムラなく確認できることや、同じ地層の地盤支持力ごとの棒グラフ状の解析ができるなどです。

 

ただし、実際に地盤にロッドなどを貫入していないため、地盤の土質状況が分からないことがあるため、サウンディング調査と併用して、補完データを確認することでより詳細な分析を行うことにしています。

 

 

 

地盤調査は命を守る木の家の基本の木ですね。