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4)地盤調査結果分析

地盤調査結果が報告書の形で出来上がりますと、その結果の分析とその後の設計方針、工程計画などを検討します。

 

関東ローム層の地盤では、地盤支持力が5KN/㎡という非常に良好な地盤はなかなかないのが現実です。

 

そのような場合は基礎形状やその下の地盤を固める地業工事の検討は標準的なもので問題ありません。

 

また、3KN/㎡という支持力の場合は、平均的な二階建ての木造住宅を建てる場合には大きな問題はありません。

 

ただし、下に行けば行くほど固くて安定した地盤があるという前提です。

 

検討課題があるのは、基礎の直下の地盤が2KN/㎡以下の場合やその下の地層に支持力の低い地層があったり、建物の基礎の下で地盤の固さが平均していない場合などです。

 

この場合は、周辺の住宅や建物、ブロック塀などの状況に異変が無いかなどの調査や地域住民の年配の方から地域の以前の土地利用や地形、造成履歴などをヒアリングします。

 

また、自治体の地盤データが管理されていないかなどを調べたりします。

 

周辺の川、地形、開発状況、幹線道路の有無なども含めて総合的に調査して、地盤調査の結果と今後の設計企画内容との擦りあわせから分析します。

 

以前に水田であったところを埋め立てた地域で、大学のグランド造成時の残土を使って埋め立てたことを古老からのヒアリングで判明し、総三階の企画設計を小屋裏三階に変更して、基礎を深く、厚く、大きくして設計した事例があります。

 

水田の粘土層はサウンディングではどんどん沈んでしまいますが、地耐力が無いわけではなく、不同沈下を起こさないように構造設計をした木の家は今でも問題ありません。

 

あくまでも設計の内容と地盤の耐力との関係で決められますので、数値だけにとらわれずに検討します。

 

以下のデータは、一部の地表と支持地盤層の途中に耐力に小さい地層がある事例です。

 

 

 

 

 

木の家散歩

地表部分の一部に2KN/㎡以下の部分があるポイントが二箇所あることと、中間層に若干支持力の低い地層があります。

 

安全率を高めには柱状地盤改良や杭を打つことになりますが、必ずしもそうしなければ木の家が建てられないわけではありません。

 

今回は基礎直下の地盤を1トン振動ローラー8走行または、80キロ級タンピングランマーにて3突き以上の転圧を行い、基礎はべた基礎とすることで、二階建ての木の家の設計を進めることで安全を確認する方針です。

 

今後の設計で、鉄筋の配筋や基礎形状などを検討しますが、全体の事業費コストと性能のバランスを見ながら、合理的設計が建築主への説明責任と共に重要です。

 

木の家づくりネットワークの基礎は底盤と立ち上がり部にコンクリート一体打ちで、基礎の厚みを15センチ以上として鉄筋のかぶり厚さを確保し、水セメント比50%以下の高強度なコンクリートとすることで耐震性と耐久性を確保しています。