22)木の建具職人のノミ
15年目の木の家リフォームでは、玄関扉を交換することになりました。
当初は杉の扉でしたが、南側が中層建築の用地として空き地のままであったこともあり、風雨が強く、紫外線による劣化も進み、一新することになりました。
少しでも耐久性が高い木の扉とするために、ヒバを使うこととなりました。
また、以前はガラスを組み込んでいませんでしたが、今回は和紙調のペアガラスを組み込みました。
和紙のフィルムにより、透視性が無く、和紙の模様が光に照らし出され、玄関が明るくなりました。
建具職人が寸法に基づき加工場で造り込みますが、細かいところは現場加工になりました。
枠にある鍵の穴に合わせて金物の穴を加工します。
既製品のアルミドアにする場合はカバー工法という、現状の枠をそのままにしてそこに新しい枠をつけて扉をつけることが多いですが、その場合はドアの幅が小さくなります。
勝手口はその様な方法で交換しましたが、玄関の狭くすることが出来ないため、木製建具の交換となりました。
現場では、細かい加工を建具職人が行いますが、木の建具を作り、加工し、取り付ける職人が少なくなりました。
職人さんが持っているノミを見せてもらいました。
用途に応じて様々な形のノミを使用します。
これが表側です。
巾や形、柄の長さもマチマチですが、使い込んでいく度に研いで短くなっていきます。
これが裏側です。
光って入りところが研いであり、黒いところは凹んでいる部分です。
削っている木屑が付きにくいように凹んでいます。
このようにノミを作った職人の銘が刻まれています。
木の家を造る職人の技を、道具が支えています。
現在ではノミの刃先が交換できる使い捨てのものがありますが、自ら研いでこそ、技も生きます。
木の家を造る職人が評価される時代をもう一度。