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21)木製サッシ金物の見学

窓の設計過程で大きな引き違い窓は木製サッシになりました。

国産の木製サッシですが、引き違いの場合には
ヘーベシーベというドイツ製の金物を使います。

ドイツ語で「持ち上げて、移動させる」という意味ですが
ハンドルを使って、開閉する方式が日本のサッシに無いため
輸入代理店に行って確認することになりました。

ショールームということではないのですが
事務所に製品の展示があるとのことで見せてもらいました。

ハンドルを廻すとサッシが上下することが良く分かります。

ハンドルと下のレールを動く戸車のメカニズムを
簡単にモデル化したサンプルです。

下にある2個の戸車がハンドルを180度回転させることで
浮いたり、沈んだりします。

浮いた時にはサッシは自重でレールの上に密着し
沈んだ時には戸車がレールの上に乗って
左右にサッシが動きます。

隙間風を入れるために5センチほどサッシをあけて
サッシをハンドルで下げると、サッシ本体が下がって
下にあるゴジラの背中のような山型の止め金具で
それ以上あけることが出来ないメカニズムがあります。

防犯性を高めることと、通風性を得ることを両立させる方法です。

さらに、ハンドルをキーでロックすることも可能です。

そのほか、腰高窓に採用するドレーキップという窓も
確認しました。

普段はこの様に開けます。

窓の掃除をするときにはこのように開けます。

複雑なメカニズムです。

このような金物は防犯=他民族との抗争の歴史がある
ヨーロッパ・ドイツの金物職人の伝統が基礎にあります。

マイスター制度が現代でも生きていることは
日本の職人制度の参考にすべきことと思われます。

日本の伝統的な窓は引き違いや突き上げ窓などのシンプルで
軽量な窓はほとんどです。

歴史的に、自然との親和性が高く、他民族との抗争が少なく
木造で、戦乱で燃えてしまうので、守りの意識が少ない民家と
ヨーロッパの防御の都市、家づくりとの違いが分かります。

今後は両方のよさを活かした窓が求められます。