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8)ライトの明日館見学ーその1

和風建築の懐徳館に続き、JR池袋西口から徒歩で10分ほどの
明日館(みょうにちかん)をクライアントご家族のご要望で
一緒に見学しました。

大学の頃に見学したぐらいで、とても久し振りで、楽しみでした。

明日館は近代建築家の三巨匠のうちの一人で
アメリカ人のフランク・ロイド・ライトの設計による学校建築で
重要文化財に指定されています。

ライトが旧帝国ホテルの設計監理のために来日中に
羽仁夫妻が主宰する自由学園の校舎として建てられました。

日本にまだ2×4工法が無い時代に、ライトの出身地の
ウィスコンシン州の草原の家のスタイル=プレーリーハウスの
形式を導入した、アメリカ草原風スタイルとでも言うような
当時としては珍しい洋風建築です。

ただ、ライトは日本の建築、浮世絵などにも造詣が深く
宇治の平等院をモチーフにしたともいえる、左右対称の
デザインからも連想されます。

中央の大きなスリット窓は木の列柱にも見え
また、芝生広場は池のようにも見えます。

中央のホールの屋根は打ち上げられて三角形の形を
そのまま室内に現しています。

窓のデザインはライト特有の幾何学模様ですが
通風できるように下から3分の2までは開けられます。

アールデコ調のデザインで、当時のモダンなテイストが
よく表されていますが、商業的な感じはしませんね。

北側(反対側)は下が暖炉、上が中2階の展示室です。
両サイドにある玄関の天井は低く押さえられていますが
ホールの大きな吹き抜けは、空間のドラマツルギーを
感じさせてくれます。

旧帝国ホテルの玄関とロビーの関係と同じですね。

中2階の手摺が間接照明の反射板の役割を持っています。

講堂の両サイドの天井は低く抑えられ、講堂の中だけでも
両サイドと中央と北側下、北側上と4つの異なる空間ボリュームが
造れていることで、変化と多様性を感じます。

羽仁夫妻の自由で、様々な個性を尊重した教育という理念が
この空間にも表現されています。

クライアントご家族も伸びやかな空間を気に入られました。
具体的にこれをどうしたいということにはなりませんが
空間の包容をどのように活かせるかということは
無言のうちに共有できた気がしました。