2)内部結露
木材の中からの水分をなるべく少なくするために、木材の含水率管理を行うことの重要性を前回ご説明しました。
今回は、室内の水蒸気が壁や屋根裏で起こす結露です。
薪や炭などで直火の暖房と重ね着によって凌いでいた時代の伝統的な木の家は気密性は低い状態でした。
気密性を上げるための窓や建築材料が無かったわけですから仕方がありませんでしたが、そもそも囲炉裏で木材を燃やしていくためにはある程度気密性が悪くないとかえって酸欠になったりしますから隙間は必要であったともいえます。
近代化とエネルギー革命で、灯油やガスの暖房が生まれ、アルミサッシや近代建築材料が普及することに伴い、気密化が進んだ室内で灯油やガスの直火暖房によって室内に水蒸気が多くなり、湿度が高い室内環境が生じました。
特に、北海道では冬の間、洗濯物が外に干せないため、室内に干したままで灯油ストーブを使うと、灯油の燃焼による水蒸気と洗濯物から発生する水蒸気で高湿度な室内空気が長い時間にわたって生じました。
外は零下10℃以下に冷え込む事が普通ですので、高温、高湿度の室内空気が外に出ようとして、あらゆる隙間を探して移動します。
そして、グラスウールの充填された壁の中に入り込み、外壁側で結露して、木材を腐らせることが多発しました。
これは、壁だけではなく、むしろ屋根や天井内のほうが多く発生し、屋根裏の木材を腐朽させ、木材強度の低下により雨漏りが発生することも見られました。
窓ガラスの表面に結露する表面結露は、まだ見えますので拭くことが出来ますが、壁の中に直接見えないままに進行する壁内(へきない)や屋根の結露、内部結露は木材の大敵です。
内部結露を完全になくすことはどんな住宅でも不可能ですが、それを最小限にすることが重要で、また、生じた水蒸気や結露水を壁、屋根などの内部に滞留させないことが重要です。