5)市ヶ尾の家再訪
12年前に設計・施工した横浜・市ヶ尾の家に久しぶりに訪問しました。
ご夫妻共に大変お元気です。
ご主人は長く勤めた仕事を退職されゆっくりとした時間を過ごされていました。
奥様は書道教室の先生を続けられ、今でも生徒さん達に教授されています。
お邪魔してご挨拶の後、早速設計、建設当時の話に花が咲きました。
特に、工事中に近くの仮住まいから現場にたまに通う中で、大工さんの仕事ぶりに大変感謝されて、一生懸命造ってくれた大工さん、その他の職人さん達への感謝の言葉が自然に流れるように溢れ出てきました。
木材産地の金山町にも都合二回も行ったことやそこでの思い出や人とのつながりなど、木の家を通して様々な人との交流や思い出を造って頂いたことが今になって貴重な体験として蘇りました。
木の家のお手入れも行き届き、12年経ったとは思われない清清しさがあふれていました。
特に、柱や梁の木組みが自然の焼けによりいい色を出していました。
自然素材の良さは何といっても、時間と共に味を出してくることで、工業的建材では決して味わうことの出来ない趣です。
木組みだけではなく、収納や建具の色合いも何ともいえない風合いです。
宅配便を届けてくれる人が、珍しい木の家の良さを今でも指摘してくれるそうです。
また、311の地震の時もご夫妻共に在宅されていたそうですが、一階の造り付けの開架式本棚のパンフレットが滑り落ちた程度で、まったく不安を感じなかったとおっしゃって頂きました。
住む人の安心、安全な耐震設計を基本としてきましたが、確認させて頂きほっとしました。
屋根瓦はまったく問題なく、深谷のいぶし銀黒瓦の瓦はよい色をさらに醸し出しています。
一部、木部の塗装や外壁の先手必勝のメンテナンスを行うべく、打合せを行い失礼しました。
これからまた磨きをかけて、安心してお住まいいただける木の家にブラッシュアップしていきます。